【すずめの戸締まり】聖地40選！あの名シーンの場所はどこ？

『すずめの戸締まり』には聖地巡礼したい名所がいっぱい！

『すずめの戸締まり』は、2022年に大ヒットした新海誠監督のアニメ映画。日本各地の廃墟に点在する災いの出口である『扉』を閉じていく少女の成長を描いたロードムービーです。

九州の静かな町で暮らす女子高校生の岩戸鈴芽（すずめ）が扉を探しているという宗像草太や謎の猫ダイジンと出会い、災いが訪れる後ろ戸を閉める旅に出るという物語。戸締りの旅は九州から四国、神戸、東京、東北と続いていきます。旅の過程では実在の名所が続々登場。

モデルだと思われる場所もたくさん見つかり、聖地巡礼の対象になっています。この記事では物語に登場する聖地40選を紹介。ぜひ巡礼の参考にしてくださいね！

※聖地巡礼に関しては、当時の映画公式X（旧Twitter）が以下のような注意喚起もしています。聖地巡礼をする際には、地元住民の迷惑にならないような訪問を心掛けてくださいね。

『映画『すずめの戸締まり』ご鑑賞後、本編中に登場する、または関連のある場所への訪問をされる皆様におかれましては、近隣住人の方々へのご配慮、及び節度のある行動、マナーに十分心掛けながらお過ごし頂きます様、お願い申し上げます』

『すずめの戸締まり』九州の聖地

物語はすずめが住む九州の小さな町、門波町から始まります。架空の街ですが、劇中に登場するスマートフォンの画像などから舞台のモデルと推測されているのが、宮崎県日南市です。日南市は堀切峠やモアイ像などみどころがいっぱいの街。とくに日南海岸沿いには絶景スポットがたくさんあります。

また九州の場面だけでもモデルになったといわれる場所は各地に存在しているので、まずはそんな九州各地の名所を紹介しましょう。

油津港（宮崎県）

通学路から見える港のモデル

すずめが扉を探している草太と出会った印象的なシーン。通学路から見える港は、日南市の油津港がモデルのひとつだといわれています。実際に高台から油津港を見下ろすと、すずめが通学中に見ていた景色とそっくり。ただし同じような道はありません。実はこの通学路のモデルは別の場所だというのが定説となってるそう。

油津は港を中心にした港町です。昭和の面影を残す町並みが魅力的。江戸時代に開削された堀川運河やそこにかかる堀川橋が町のシンボルです。 また大型クルーズ船が寄港することから、宮崎県南地域の海の玄関口にもなっています。

湯の鶴温泉（熊本県）

温泉街の廃墟のモデルのひとつ

すずめが草太を追いかけて迷い込んだ温泉街の廃墟、門波リゾートの場面は、いくつかの温泉街がモデルになったといわれています。川沿いにレトロな建物が立ち並ぶ場面の雰囲気が似ていることからモデルだといわれているのは、熊本県の水俣にある湯の鶴温泉です。

湯の鶴温泉は約700年の歴史をもつ温泉。山間の狭い道路沿いに小さな旅館や公衆浴場、商店、古い民家が建ち並び、懐かしい湯治場の雰囲気を感じることができます。

2022年には、国民温泉保養地に指定。立ち寄り湯もあるので気軽に温泉を楽しめますよ。 

杖立温泉（大分県）

温泉街の廃墟のモデルは大人気温泉地

杖立温泉は熊本県と大分県の県境にある人気の温泉地。開湯1,800年で、弘法大師が杖を立てたという伝説も残る温泉です。人気は高いものの廃業した施設もあり、その光景が似ていることから、ここも温泉街の廃墟のモデルになったのではないかと噂されています。 

杖立温泉は川を挟んだ町のあちこちから立ち上る湯けむりが美しい温泉地。泉質のよさが評判となり湯治の街として愛されたエリアで、昭和のはじめには九州の奥座敷の歓楽街としてにぎわいました。現在は当時と比べればかなり落ち着いた雰囲気。レトロな温泉地として人気を集めています。

川を挟んだ町中から湯煙があがる景観の美しさは、その雰囲気のよさから多くの映画やPVのロケ地にもなっています。また春には杖立川上空に約3,500匹の鯉のぼりを泳がせる鯉のぼり祭りも開催。この時期はとくに多くの観光客でにぎわいますよ。

天ヶ瀬温泉（大分県）

温泉の廃墟のシーンで橋から見る風景のモデル

温泉の廃墟に登場する橋から見る風景が似ているといわれるのは大分県の天ヶ瀬温泉。九重連山の水を集めて流れる清流、玖珠川沿いの山あいに広がる温泉です。

1,300年の歴史を誇る温泉は、別府、由布院と並ぶ豊後三大温泉と呼ばれます。川岸に5つの共同露天風呂があるのも魅力。 水面と同じ高さで露天風呂に浸かることができます。開放的な共同浴場の駅前温泉や、繊細な美しさの桜滝もみどころです。 

湯平温泉（大分県）

もっとも忠実に再現された旧温泉街のモデル

温泉の廃墟のシーンは赤ちょうちんや石畳の道が印象的。そんな街並みのモデルといわれるのが、大分県の湯平温泉です。江戸時代から湯治場として栄えてきたここも、情緒ある街並みが特徴。花合野川沿いに5つの共同浴場があり、湯めぐりを楽しめます。

旧温泉街のシーンでも湯平温泉はとくに忠実に描かれているので、石畳の街を散策すれば物語を追体験できますよ。

豊後森機関庫（大分県）

鉄骨ドームのある廃ホテルのモデルといわれる場所

温泉街のシーンでもっとも印象的に描かれ、作品のキービジュアルにもなっているのが、鉄骨ドームのある廃ホテル。そのモデルは旧豊後森機関庫ではないかと言われています。鉄骨ドームはないものの広大な中庭や円形の建物など全体の雰囲気がそっくりで、人気の聖地になっています。

国の有形文化財と近代化産業遺産に登録されている旧豊後森機関庫は、九州に現存する唯一の扇型機関庫。 この扇形機関庫は以前は九州各地にあったものの、機関庫の廃止や老朽化で次々に解体され、現在ではここだけになりました。

展示されている蒸気機関車29612号は大正8年に製造され、キューロクという愛称で親しまれてきた車両です。昭和49年までの55年間、長崎本線や唐津線で活躍。昭和20年に長崎に原子爆弾が投下された時期には、被災された多くの人たちを乗せて走り、人命救助に貢献しました。老朽化による解体処分が公表された際には、蒸気機関車を救って欲しいという声が玖珠町に届き、保存されることになったそうです。

佐賀関港（大分県）

フェリーに乗り込む港のモデル

ダイジンを追うため、椅子の姿に変えられてしまった草太とすずめがフェリーに乗り込んだ港。そのモデルは大分県の佐賀関港ではないかといわれています。佐賀関半島は九州と四国の間の豊後水道に向かって東に突き出している半島。そのため愛媛県にとても近いのが特徴です。

この港から出ている国道九四フェリーは九州と四国を最短航路で結ぶフェリー。佐多岬のほぼ先端にある三崎港まで最短70分で到着します。そして7時台から23時台まで1日16往復32便を毎時運航しているので、時間を気にせず気軽に行って乗れるのも魅力です。

市街地をはさんだ南側にある佐賀関漁港では高級魚としておなじみの関さばや関あじが水揚げされるので、聖地巡礼のついでに特産のさばやあじを堪能してみては？

オレンジフェリー（大分県〜愛媛県）

すずめたちが乗ったフェリーは港に注意

聖地巡礼でフェリーに乗ろうと思った人は要注意。佐賀関港から出ているのは国道九四フェリーですが、すずめと草太が乗り込むフェリーは、船体のデザインや到着する港などからオレンジフェリー九四航路（九四オレンジフェリー）だとわかっています。そしてこのオレンジフェリーが出航するのは、別の場所にある臼杵港なのです。

九四オレンジフェリーは大分県臼杵港と愛媛県八幡浜港を1日7往復しているフェリー。国道九四フェリーより距離がある分、所要時間も2時間15分から25分と長くなります。映画に登場したフェリーの内装にはまた別のモデル・スオーナダフェリーなのだそう。

スオーナダフェリー（大分県〜山口県）

フェリーの内装のモデルはこちら

すずめと草太が乗り込んだフェリーの内装は、九四オレンジフェリーではなくスオーナダフェリーがモデルとなっています。スオーナダフェリーは大分県の竹田津港と山口県の徳山港を結ぶフェリー。物語では船内の床の模様や椅子、テーブルからゲーム機や自販機までしっかり再現されています。

片道約2時間のフェリーは1日5往復運航。すずめたちの旅のルートからは大きく外れますが、聖地巡礼では欠かせない乗り物のひとつです。余裕がある人はぜひオレンジフェリーとスオーナダフェリーの両方に乗ってみてください。

『すずめの戸締まり』四国の聖地

四国についたすずめと草太はダイジンの行方を追って電車で移動し、その後ヒッチハイクをして四国を横断します。その間にはダイジンが目撃されたという設定で実在の駅も登場。続いてはそんな四国各地の聖地を紹介しましょう。

八幡浜港（愛媛県）

フェリーが到着した港

すずめと草太がフェリーに乗って到着したのは、愛媛県の八幡浜港です。九州を出発した際の港はモデルの場所とは異なっていましたが、こちらはオレンジフェリーの実際の発着港。景色もそっくりです。ただし物語に登場したターミナルは老朽化で取り壊され、現在は新ターミナルで営業しています。

八幡浜駅（愛媛県）

すずめたちが電車に乗る駅

すずめと草太が電車に乗るのはJR八幡浜駅。港からは徒歩25分ほどで到着します。物語に登場する八幡浜駅のホームは再現度が高く、ホームから映画とそっくりな景色を見つけることができますよ。

八幡浜は散策も楽しい街。港の近くの道の駅・八幡浜 みなっとにはレンタサイクルもあるので、自転車で港町をめぐってみるのもおすすめです。

肱川橋梁と大洲城（愛媛県）

電車から見える美しい風景

八幡浜駅から出た列車が走っていく途中のシーンで映る光景は肱川に架かる肱川橋梁。背景に見えているのは大洲城です。

大洲城は江戸時代初期に築城された平山城。その天守は明治時代に一度解体された歴史を持っています。しかしその後、江戸時代の木組み模型や明治時代の写真などの資料をもとに2004年に復元。また江戸時代から残る4つの櫓は、国の重要文化財に登録されています。

美しい眺めも魅力のひとつで、天守からは肱川の流れと大洲の町並みを一望できます。とくに朝霧に包まれた風景は幻想的。城下町には趣のある武家屋敷も残っています。

JR伊予大洲駅（愛媛県）

ダイジンが目撃された駅

ダイジンは各地で目撃情報を残していきますが、駅員の帽子をかぶった姿が見つかったのは、JR四国予讃線の伊予大洲駅です。駅舎をバックに撮影された写真が登場するのはほんの数秒だけ。ホームから見た駅舎はその形や周囲の建物、そして電柱までそっくりに再現されています。

劇中のように駅舎の前に普通列車が止まるのは1時間に1本あるかどうかというタイミングなので、こだわりたい人は発着時間を確認していくのがおすすめです。

大洲市は伊予の小京都と呼ばれる魅力的な街。合わせて観光するのもおすすめですよ。

下灘駅（愛媛県）

ダイジン探すシーンに一瞬映る絶景駅

ダイジンの目撃情報を追うシーンで一瞬登場するのが下灘駅。ここは四国を代表する絶景駅としておなじみのスポットです。目の前の海を埋め立てて国道378号が開通するまでは日本一海に近い駅としても有名だった駅。そのホームからは今でも広い海を眺めることができます。

ここは『すずめの戸締まり』以外にも多くの映画の撮影場所として使われる人気のスポットです。

関川駅（愛媛県）

すずめたちが下車する無人駅

八幡浜駅から電車に乗ったすずめたちが降りた駅は四国中央市にある関川駅。開設当初からの無人駅で駅舎はなく、ホーム上に待合所だけがあります。

映画に象徴的に出てきたのはこの待合所。駅の外にある道路から斜め後ろの待合所を見たアングルになっています。

大谷池（愛媛県）

千果と出会うシーンの池は旱魃と水害に勝った象徴

すずめたちが旅館の娘の千果と出会うシーンで見えている池のモデルは大谷池。現実の風景にそっくりなシーンがいくつも登場します。

大谷池は伊予市南伊予にある愛媛県最大のため池。現在も伊予市の838haの農地の灌漑に利用されています。池の周りをぐるりと一周できる遊歩道もあるので、野鳥や山の景色を眺めながら散策を楽しんでみては？

室戸スカイライン（高知県）

通学路のモデルはここが有力

ストーリー上は大きく戻りますが、すずめと草太が出会った通学路は日南市では似たところがないといわれていました。そのモデルとして有力なのが、室戸スカイライン。下り道の先に港が見える光景は道幅を少し狭くしてガードレールを一般的なタイプにすればそっくりということで、ここがモデルだといわれています。

室戸岬は、海岸段丘や奇岩が続く景勝地。この室戸岬の先端付近で国道55号から分岐する室戸スカイランは、岬中央部の尾根を伝って岬の西海岸で再び国道55号に戻る観光ルートです。無料なので気軽に走ることができます。ぜひあの名場面にそっくりな景色を探してみてください。

第1吉野川橋梁（徳島県）

神戸に向かう車の向こうに見える橋

すずめと草太が二ノ宮ルミの車で神戸に移動するシーンでは、橋の奥に印象的な鉄橋が見えます。これは吉野川橋とJR土讃線の吉野川橋梁です。

吉野川橋梁はJR土讃線開通のため吉野川に最初に架けられた鉄道橋。完成年は昭和4年で、何度も起こる洪水に打ち勝ち、人力や馬、蒸気式の機械で完成させました。

吉野川橋梁という名前の橋はJR高徳線のものもあるので、間違えないようにしてくださいね。

大鳴門橋（徳島県〜兵庫県）

映画には登場しないが絶対に通った橋

松山から神戸に向かう際、画面には登場しないけど確実に通っているはずなのが大鳴門橋。そのため映画には登場しない大鳴門橋も聖地のひとつになっています。

鳴門市と淡路島の間にある鳴門海峡にかかる大鳴門橋は、徒歩で渡ることも可能。また大鳴門橋遊歩道 渦の道を歩けば、鳴門海峡の壮大な渦潮を間近で観察できます。大鳴門橋の下段に設けられた遊歩道は全長450m。海面からの高さは約45mもあり、ガラス張りの床から激流の海を眺められますよ。

『すずめの戸締まり』西日本の聖地

兵庫県に入ったすずめたちが滞在したのは、兵庫県神戸市。神戸が物語の重要な舞台になったのは、ここが阪神・淡路大震災から復興を遂げた街だからです。一方、神戸の場面には他の西日本の名所も登場します。続いてはそんな西日本の聖地を紹介しましょう。

明石海峡大橋（兵庫県）

予告編にも登場した印象的な橋

ダイジンが渡っている映像がニュースになり、それを追うすずめたちが通ったのは明石海峡大橋です。淡路島から明石海峡大橋を見た光景は予告編にも登場しています。

明石海峡大橋は全長3,911m、2022年3月にトルコのチャナッカレ1915橋に抜かれるまでは世界で一番長い吊り橋でした。1988年5月から1998年4月まで工事に10年の歳月がかけられた橋は、1995年1月の阪神・淡路大震災で中央部が大きく移動してしまうという悲劇にも見舞われています。

みどころは海上47mの位置に設けられた回遊式遊歩道の舞子海上プロムナード。優美な橋や周囲の景色を堪能できますよ。 

東山商店街（兵庫県）

九宮筋商店街のモデルのひとつ

二ノ宮ルミが『はぁばぁ』というスナックを経営している九宮筋商店街は、神戸のさまざまな商店街や市場を組み合わせています。商店街入り口のモデルは、神戸市兵庫区の東山商店街。ほぼそのままの姿で映画に登場します。

東山商店街は、古くから神戸の台所として親しまれる商店街。多くの人でにぎわっている楽しい商店街なので、ぜひゆっくり散策してみてください。 

二宮商店街（兵庫県）

九宮筋商店街の内側のモデルのひとつ

九宮筋商店街のもう一つのモデルは二宮商店街。アーケード入口以外の多くの場所のモデルは二宮商店街だといわれています。たとえばルミのスナック兼自宅の建物があるのは、二宮商店街のど真ん中辺り。商店街に並んだお店の8角形の看板などもそっくりです。

ちなみにルミが車で立ち寄ったマクドナルドは神戸市須磨区にあるマクドナルド2号線須磨店がモデルだといわれています。

鷲羽山ハイランド（岡山県）

遊園地前の坂道が登場するスポット

神戸に現れたミミズを追ってすずめたちが向かったのは廃墟となった遊園地。住宅街を抜けて遊園地を目指す途中に登場する坂道は、鷲羽山ハイランドに向かう坂道がモデルです。しかし、その後に登場する廃墟の遊園地は鷲羽山ハイランドではありません。さらに実際の鷲羽山ハイランドは現在も廃墟ではなく、絶賛営業中なので廃墟を期待して行かないようにしてくださいね。

鷲羽山ハイランドは昔ながらののんびりとした雰囲気の遊園地で、すべてのアトラクションが乗り放題。ゲームコーナーやカフェ、ふれあい動物園、夏にはスライダープールも楽しめます。また本場ブラジルのサンバショーも人気です。 高台にあって瀬戸内海を一望できるのも魅力ですよ。

神戸おとぎの国（兵庫県）

廃墟の遊園地のモデルは神戸の人気スポット

すずめたちがたどり着いた廃墟の遊園地は神戸ゆめの国。そのモデルは観覧車やジェットコースターの位置などから神戸おとぎの国といわれています。

神戸おとぎの国は、神戸を代表する道の駅である神戸フルーツ・フラワーパーク大沢にある遊園地。こちらも廃墟ではなく人気の遊園地です。入園料は無料で、アトラクションはチケット制。値段はそれぞれ200円から400円ほどとお手頃ですよ。

遊園地だけでなく道の駅 神戸フルーツ・フラワーパーク 大沢にもみどころはいっぱい。サーカスのテントのような建物が3棟並んだファームサーカス・マーケットでは地元の農家から直送された新鮮な野菜や果物、地元で作られた加工食品、こだわりの三田牛などを買うことができます。

レストランやカフェも充実。足湯やバーベキュー、馬とのふれあい体験、農産物加工場見学など1日では遊びきれないほどの施設があるので、ぜひ合わせて楽しんでみてくださいね。

六甲山（兵庫県）

遊園地のシーンでみられる夜景はここ！

遊園地のシーンで遠くに見える夜景は、六甲山の天覧台から望む六甲アイランド方面の景色だといわれています。神戸から大阪平野、関西国際空港まで夜景が広がる様子はまさに絶景。天気が良ければ淡路島の明かりも見ることができます。

別名は1,000万ドルの夜景と呼ばれ、日本夜景遺産にも選ばれています。天覧台はすぐ下が六甲ケーブルの駅なのでアクセスもばつぐんですよ。 

新神戸駅（兵庫県）

すずめたちが新幹線に乗った素朴な駅

ルミと別れて東京へ向かうすずめたちが新幹線に乗り込んだのは、新幹線が停車する神戸の玄関口・JR新神戸駅です。しかし三宮など神戸の中心地からは少し離れていて、素朴な雰囲気も漂っています。

東海道・山陽新幹線のすべての列車が停車する駅のなかでもっとも規模が小さいのも特徴。劇中の描写からも自然豊かで少しのどかな雰囲気が伝わってきます。

清洲城（愛知県）

新幹線の車窓から見える人気観光スポット

東京へ向かう新幹線が高架線を通過するシーンで見えるのは、愛知県清須市の清洲城。五条川水辺の散策路から見た景色が登場します。

清洲城は織田信長が桶狭間の戦いに勝利して天下統一への第一歩を踏み出した際の居城。現在の清洲城の天守は平成元年に再建されたものです。城内では清須の歴史を紹介する展示や映像を見ることができますよ。

また清洲城の周辺は五条川堤防や清洲公園の桜など散策にぴったりなスポットに恵まれているのもうれしいポイント。名古屋城や小牧山城、犬山城、岐阜城など愛知周辺の史跡めぐりのスポットとしても人気を集めています。

『すずめの戸締まり』関東の聖地

新幹線のシーンでは一瞬、神奈川県小田原市の景色が映ります。その後新幹線は東京駅に到着。東京編では実在するスポットがたくさん登場します。ここからはそんな東京の聖地を紹介しましょう。

東京駅（東京都・千代田区）

新幹線から乗り換える駅は空襲から復興

すずめたちが乗った新幹線は、東京駅に到着。人があふれる構内を進んで向かったのは1、2番ホームでした。すずめたちは中央線に乗り換えて御茶ノ水駅へ向かいます。

東京駅は大正時代のはじめに建設された駅。駅舎は国の重要文化財に指定されています。アメリカ軍による空襲で一部が破壊され、その後に修復されているのも『すずめの戸締まり』に登場する理由かもしれません。

ちなみに東京駅の待ち合わせスポットでもっとも有名な銀の鈴は、八重洲地下中央口改札からすぐの場所にあります。これは東海道新幹線の誕生で乗降客が急増したため、駅係員のアイデアで待ち合わせ場所として設置されたものです。

御茶ノ水駅（東京都・千代田区）

草太のアパートの最寄り駅は関東大震災で被災

JR御茶ノ水駅周辺は草太が住んでいるアパートの最寄り駅。そのため東京にいる間は劇中にたびたび登場します。

この御茶ノ水駅は明治37年に誕生しましたが、大正12年の関東大震災で駅舎が一部焼失。また神田川に面した崖が大きく崩落しました。その後、御茶ノ水駅はお茶の水橋と聖橋の間の現在の位置に移転しています。

駅の出入り口は御茶ノ水橋口と聖橋口。出口を間違えると景色がまったく違うので混乱しますよ。東京から東北に向かう場面でオープンカーに乗るのはお茶ノ水橋口です。

聖橋（東京都・千代田区〜文京区）

ミミズが吹き出す立体交差の名所

御茶ノ水駅のすぐ近くにある聖橋は『すずめの戸締まり』を代表する聖地のひとつ。聖橋からは東京の後ろ戸へと続くトンネルを見ることができます。ここはミミズが噴き出したトンネル。もともとJR総武線、JR中央線、地下鉄丸の内線の車両が立体交差する絶景スポットとして人気だった場所で、トンネルからは実際には丸の内線が出てきます。

聖橋は神田川に架かる美しいアーチ橋。昭和2年に完成したこの橋は関東大震災後に震災復興橋梁として作られた鉄筋コンクリート造りのアーチ橋です。聖橋という名前は、近くにある湯島聖堂とニコライ堂の2つの聖堂を結ぶことからつけられました。橋は当時運航されていた神田川の船から見上げたときにもっとも美しく見えるよう設計されています。その端正な姿は御茶ノ水駅のホームからじっくり見ることができますよ。

浅草寺（東京都・台東区）

ダイジンが目撃された門も被災経験あり

ダイジンがSNSにアップされているシーンで登場したのが、浅草寺の雷門。浅草駅から徒歩約5分とアクセスしやすい浅草寺は東京観光の目玉のひとつです。約1,400年という長い歴史をもつ観音霊場で、源頼朝や徳川家康なども訪れています。

この雷門という名前は、実は通称。正式名称は風神雷神門です。風神は風を司る神で、雷神は雷を司る神。次第に呼びやすく省略され雷門という呼び名になりました。そしてこの雷門も1865年の火災により大きな災害に遭った歴史があります。それ以降、雷門は100年近く姿を消していましたが、昭和35年に松下電器の創立者である松下幸之助氏が寄付をして雷門と提灯を修復。そのため雷門の提灯には松下電器と記されています。

バスタ新宿と新宿駅南口（東京都・渋谷区）

『君の名は。』でも登場した人気の聖地

ミミズが広がっていくシーンでは東京の名所が一気に登場します。新宿で印象的なのは、バスタ新宿と新宿駅南口です。

ここは同じ新海誠監督の『君の名は。』でも印象的に登場したスポット。新海誠作品の東京を象徴する場所のひとつとしておなじみです。

新宿エルタワー（東京都・新宿区）

ミミズが空に広がるシーンのビル

新宿エルタワーもミミズが広がっていくシーンで登場しました。

新宿エルタワーは新宿新都心の一角にある超高層オフィスビル。朝日生命保険や三菱UFJ銀行などが所有し、有名な会社がたくさん入っているほか、B2F エルプラザ飲食街には多くのレストランも入っています。

渋谷駅（東京都・渋谷区）

ミミズが広がるシーンとキャンペーンの聖地

ミミズが空に登るシーンでは渋谷駅周辺も登場。宮益坂下の交差点などが映りました。また2024年4月に『すずめの戸締まり』が地上波で初放送された際には、映画に出現したものと同じ扉が渋谷のMIYASHITA PARKに設置されて話題になっています。

MIYASHITA PARK（ミヤシタ パーク）は、2020年に誕生した複合型商業施設です。BALENCIAGAやPRADAなどのハイブランドショップや、日本初出店のGRAN SOL TOKYOなどの飲食店、フードホールなどがあるおしゃれなスポット。渋谷駅から徒歩で約2分でアクセスできるのも魅力です。

秋葉原（東京都・千代田区）

ミミズのシーンで登場したアニメの聖地

同じミミズのシーンでは秋葉原駅も登場しました。その周辺には秋葉原電気街が広がっています。

秋葉原電気街は、家電量販店から専門店まで電気製品の店舗が約500も並ぶエリア。また現在ではアニメやゲーム、アイドルに関連するショップの方が勢力を増し、アニメ・オタク文化の発信地として世界に知られるようになりました。面白い発見ができるショップも多いので、聖地めぐりのついでに趣味のグッズも探してみてくださいね。

お台場海浜公園（東京都・港区）

東京湾の絶景スポットもミミズのシーンで登場

ミミズのシーンではお台場海浜公園も映っています。

お台場海浜公園は東京湾を望む人気の公園。広々としたエリアではイベントも多く開かれ、ゆっくりと散歩するなどさまざまな楽しみ方ができるのが魅力です。とくに人気は夕暮れ後の時刻。レインボーブリッジなどがライトアップされ、ロマンチックな光景が楽しめます。

隣接する台場公園は、国指定の史跡。江戸時代末期に黒船を迎撃するため大砲を置いた場所で、現在は一部が公園として開放されています。ここも東京の歴史上貴重な場所なので、ぜひ立ち寄ってみてください。

牛ヶ淵（東京都・千代田区）

地下で目を覚ましたシーンで確認された場所

牛ヶ淵は、東京の後ろ戸があった場所。地下で目を覚ましたすずめがスマホのGPSを使って牛ヶ淵にいることを確認しています。

牛ヶ淵とは九段坂の田安門から清水門を廻る堀のこと。ここは牛ヶ淵と呼ばれるのは、あまりの急坂のためかつて牛車が堀に落ちたからだといわれています。

順天堂大学医学部附属順天堂医院（東京都・文京区）

草太の祖父が入院していた病院

順天堂大学医学部附属の順天堂医院は、草太の祖父・宗像羊朗が入院していた病院。映像でも順天堂の文字がはっきりと見えています。

ただしここは一般の病院なので、患者さんや医療従事者の迷惑にならないことがいちばん大切です。聖地巡礼では迷惑にならないように外観を眺めるだけにして、施設内には立ち入らないようにしてくださいね。

『すずめの戸締まり』東北の聖地

物語の終盤、すずめは草太の友人の芹澤朋也、叔母の環とともに宮城県へ向かいます。東日本大震災の傷跡も残る東北への旅では、大震災からの復興を象徴する建物が登場。最後はそんな東北の聖地を紹介しましょう。

道の駅 大谷海岸（宮城県）

旅の途中で寄ったレストランのモデルは、宮城の復興の象徴

旅の途中で立ち寄ったレストランのモデルは道の駅 大谷海岸。店内や駐車場など、まったく同じ風景がたくさん登場します。

道の駅 大谷海岸は東日本大震災の津波で大きな被害を受けましたが、2021年にリニューアルオープン。震災からの復興を象徴する施設のひとつです。

震災前の道の駅にはJR気仙沼線の大谷海岸駅が併設され、海水浴場に日本一近い駅として人気を集めていました。しかし東日本大震災の津波で大谷海岸の砂浜は消失。国は砂浜があった場所に防潮堤の建設を計画しました。一方、地域住民は大切な砂浜を守りたいと団結し協議を重ねた結果、防潮堤を当初の計画より後方に建設して砂浜を残すことになったのです。

今では漁港で水揚げされる新鮮な地魚や三陸の産物など宮城の特産品が味わえる場所として人気を集めています。映画で食べていた海鮮ラーメンや、小説版で登場する漁師の気まぐれ定食が人気。また出発後にすずめが車内で食べていたパンは名物のピーナッツクリームサンドだといわれていますよ。

織笠駅（岩手県）

終盤の駅は岩手県の復興を象徴するスポット

物語の終盤で登場した駅は三陸鉄道リアス線の織笠駅。小さな無人駅で、待合所のユニークな形が特徴的です。また地元を走る三陸鉄道も登場します。

織笠駅は東日本大震災のときに流されてしまいましたが、2019年には以前の駅から1km北側に移転する形で再建しました。周辺に集団移転した住宅団地があるこの駅は岩手復興のシンボルのひとつになっています。

『すずめの戸締まり』の聖地に行こう！

『すずめの戸締まり』は、阪神・淡路大震災や関東大震災、東日本大震災が背景にある映画。聖地を巡ることでそこにいた人々の生活や人生、そして災害から立ち上がる人々の強さを知ることができるかもしれません。聖地巡礼はマナーを守りながら楽しんでくださいね。

photo by PIXTA