日本三大松原はどこ?その魅力や諸説ある3つめの候補地を徹底解説!
日本三大松原は、その美しさと規模の大きさで知られる松の林。三大のうち2つは確定していますが、3つめには2カ所の名前があがります。 この記事では、日本三大松原の見どころや歴史を紹介。海岸沿いに松原が多い理由にも迫ります。
日本三大松原は、その美しさと規模の大きさで知られる松の林。三大のうち2つは確定していますが、3つめには2カ所の名前があがります。この記事では、日本三大松原の見どころや歴史を紹介!海岸沿いに松原が多い理由にも迫ります。
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松原とは
松原は松が生い茂る林のこと。松は山にも生えますが、まとまった松原が広がっている場所は海岸沿いになるのが一般的です。これはなぜでしょうか?
松原はなぜ海岸に多い?
海岸に松の木が多い理由は、塩分、風、乾燥、砂質の土という海岸独特の環境に耐えることができるからです。
海沿いの環境では、土に塩分が含まれていることが多く、多くの植物は生育できません。しかし松の木は塩分に対して耐性があり、海岸でもよく育ちます。また松の木は深く根を張り幹も強いため、海岸に吹きつける強風によく耐えるのも特徴。
強い風は土を乾燥させ、多くの植物はその乾燥にも耐えられませんが、松は乾燥した環境でも生きていくことができます。そして水はけがよく栄養分が少ない砂地でも松の木は大丈夫。
このような特性があるため、ほかの木が育つことができない海岸で松は勢力を伸ばすことができます。そのため昔から海岸沿いや小さな島には松の木が多く生えているのです。
海岸を守るため、松の植樹も行われてきた
海岸線で松が増えると根が砂を固定し、細く密な葉が風で飛ぶ砂を受けて落とすため、松原は海の砂が内陸に浸食するのを防いでくれます。また松は海からの強い風を止める役割も担ってくれます。
そのため海岸の防風林や防砂林として、植樹されるのは松が一般的。昔から海風の強い地域では海岸に松を植えてきました。これも海岸に松原が多い理由です。
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日本三大松原とは?
日本三大松原は日本の松原の中でもとくに規模が大きく、景色もすばらしい3カ所を表す称号。誰ともなく言い出したものですが、一般的には以下の2つが確定とされています。
- 三保の松原(静岡県静岡市)
- 虹の松原(佐賀県唐津市)
そして諸説あるのは3つめの松原。以下の2つのどちらかが入ります。
- 気比の松原(福井県敦賀市)
- 天橋立(京都府宮津市)
一般的には気比の松原が3番めに入ることが多いものの、ときどき気比の松原に代わって天橋立を入れる説があるというイメージ。そのため日本三大松原は何と聞かれたときには、三保の松原、虹の松原、気比の松原と答えれば間違いではないということになります。
以下、それぞれの松原の魅力を解説していきましょう!
三保松原
羽衣伝説の舞台にもなった松原
三保松原(みほのまつばら)は、駿河湾に突き出た三保半島の海岸線に沿って約5キロも続く松林。主な松の種類はクロマツで、その数は約3万本といわれています。
青い海と緑の松原、正面に富士山が並ぶ景観は、文学や芸術の題材としても有名。1915年の全国投票では、北海道の大沼、大分県の耶馬渓と並んで日本新三景の一つにも選ばれました。
三保松原の歴史
三保半島は、有度山や大崩海岸、安倍川河口から流れてきた砂や小石が、波の影響で運ばれてきて溜まった砂嘴(さし)。ほかの植物が育ちにくい環境のため、クロマツが自然に増えました。
そんな三保松原は、古くからの聖地。神の山とされた富士山と人間の世界を結びつける架け橋、富士山へ向かう入り口として大切に守られてきました。現在の松林は海岸沿いのみですが、かつては三保半島全体が松におおわれていたそう。歌川広重の『冨士三十六景 駿河三保之松原』や『六十余州名所図会 駿河三保のまつ原』など多くの浮世絵には、その当時の様子が描かれています。
三保松原の見どころ
三保松原で有名なのはなんといっても海と松原、富士山の光景。多くのカメラマンが海岸からベストショットを狙っています。しかしほかにも三保松原は見どころがいっぱいです。
神の道は、御穂神社へと続く一直線に伸びた松並木。樹齢200年以上の松が茂る約500メートルの道は、名前の通り神様が通る道とされ、有名なパワースポットになっています。その神の道の先にあるのが、羽衣の松。天女の羽衣伝説で知られる松で、海の彼方から訪れる神様は羽衣の松を目印にしてこの地に降り立ち、神の道を通って御穂神社に向かうといわれています。
羽衣の松の近くにある資料館・みほしるべも必見です。三保松原と富士山を紹介した映像や絵画、工芸品のほか、マツの根の標本などを展示。屋上からは松林越しに富士山を眺めることもできますよ。
三保の松原(みほのまつばら)の基本情報 | |
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住所 | 静岡県静岡市清水区三保1338−45 |
電話 | 054-340-2100(静岡市三保松原文化創造センター「みほしるべ」) |
営業時間 | 散策自由 9:00~16:30(みほしるべ) |
休業日 | なし |
アクセス | JR清水駅からバスに乗り、三保の松原入口バス停で下車、徒歩15分 東名高速道路 清水ICまたは日本平久能山スマートICから車で約25分 |
料金 | 無料 |
公式サイト |
虹の松原
七不思議も楽しい松原
虹の松原も日本三大松原のひとつであることが確定している松原。唐津湾沿いに伸びる松林は、幅が500メートル、長さが約4.5キロもあります。植樹して増やしたため圧倒的に多い松は100万本もあるといわれ、そのほとんどすべてがクロマツです。
海水浴場と隣接する虹の松原は、特別名勝に指定されているだけでなく、日本の白砂青松100選、日本の渚百選、かおり風景100選、日本の道100選にも選ばれています。
虹の松原の歴史
虹の松原は、もともとあった林を江戸時代初期の植樹で拡大した松林。17世紀のはじめに唐津藩の初代藩主だった寺沢広高が、防風林・防砂林として整備しました。藩では禁伐の掟を作って松林を管理。伐採すれば死罪とし、燃料としての落葉の採取も制限して手厚く守ってきました。
この松原は、藩政時代にはその長さから二里松原といわれたそう。しかし明治時代に入るといつの間にか言葉が変化して、虹の松原と呼ばれるようになりました。
虹の松原のみどころ
虹の松原は、三保松原と比べて密集したクロマツがみどころ。そんな虹の松原を一望できるのが、鏡山展望台です。緩やかに湾曲した松原と海のコントラストはまさに絶景!昼間はもちろん、朝日や夕日の時刻もおすすめです。
また虹の松原は、なぜか8つある七不思議でも知られています。
- 豊臣秀吉がこの松原を通り、あまりセミが鳴くので騒がしい!と叱ったとき以来、松原ではセミの声が絶えた
- 秀吉が松原を通っている時、松が高くて眺望がきかなかったので低くなれと一睨みして以来、高くならない睨み松がある
- 秀吉の軍隊の槍を立てかけた槍掛松(やりかけまつ)がある
- 百万本の松はクロマツばかり
- 松原の中には、海岸近くなのに真水が湧き出る井戸がある
- 高島の東端と神集島の西端を結ぶ延長線がちょうど松原の中心になる
- 浜崎にある諏訪神社にまつられている諏訪姫の願いによって、松原には蛇がいない
- 松原の南側の千人塚砂丘に、根が高く持ち上がった根上りの松がある
このような歴史的な七不思議のほかにも、二本の松がつながり間をくぐると幸せになれるといわれる連理の松や、すべての松が斜めに生えていて自分も斜めになったように錯覚してしまうエリア、龍や大ダコ、キングギドラという名の松など、ユニークなスポットがたくさんありますよ。
虹の松原の基本情報 | |
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住所 | 佐賀県唐津市東唐津~浜玉町 |
電話 | 0955-74-3355(唐津観光協会) |
営業時間 | 散策自由 |
休業日 | なし |
アクセス | 西九州道 唐津ICから車で約20分 長崎道 多久ICから車で約45分 JR筑肥線 虹ノ松原駅からすぐ |
料金 | 無料 |
公式サイト |
気比の松原
日本海の荒波と雪景色も美しい名勝
気比の松原(けひのまつばら)は、日本三大松原の3つめに入ることが多い福井県の松原。若狭湾国定公園の一部で、昭和9年には国の名勝にも指定されています。長さ1キロ、40万平方メートルの松林にある松は、アカマツやクロマツなど約1万7,000本。その多くはアカマツです。
気比の松原の歴史
気比の松原は植樹された人工林ではなく、海岸に自然に増えた自然林。古来から氣比神宮の神の森として守られてきました。戦国時代には織田信長の越前攻略で没収され、江戸時代には小浜藩が藩有林として管理。明治時代からは国有林になっています。
この気比の松原に伝わっているのが、一夜の松原の伝説です。それは聖武天皇の時代、この地に異賊が来襲したところ数千の松が一夜にして浜辺に出現し、無数のシラサギが集まったというもの。その様子が風にひるがえる旗に見えたので敵は数万の軍勢がいると思い、逃げ去ったといわれています。
気比の松原のみどころ
気比の松原は春や秋には静かな松林。しかし夏になると海岸が松原海水浴場として開放され、多くの海水浴客でにぎわいます。日本海一ともいわれる花火大会と灯籠流しも人気。また冬には松林一帯が雪で白く染まり、日本海の荒波と雪景色の松原がつくる絶景が見られることから、多くのカメラマンの人気を集めています。
気比の松原は日本の遊歩道百選にも選ばれているのが特色。緑鮮やかな松に包まれるさわやかな遊歩道はウォーキングに最適で、市民の憩いの場にもなっています。スケジュールに合わせて約15分から40分のコースを選べるので、旅行の途中に散策してみるのもおすすめです。
気比の松原(けひのまつばら)の基本情報 | |
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住所 | 福井県敦賀市松島町 |
電話 | 0770-22-8167(敦賀観光協会) |
営業時間 | 散策自由 |
休業日 | なし |
アクセス | 北陸自動車道 敦賀ICから車で約15分 JR敦賀駅からコミュニティバス松原線に乗り、気比の松原バス停で下車 またはぐるっと敦賀周遊バスに乗り、松原海岸バス停で下車 JR敦賀駅からタクシーで約10分 |
料金 | 無料 |
公式サイト |
天橋立
日本三景にも選ばれている名所
天橋立(あまのはしだて)は、京都府北部の日本海、宮津湾にある名所。気比の松原の代わりに日本三大松原の3つめに入ることがあります。それ以上に陸奥の松島、安芸の宮島と並ぶ、日本三景のひとつとして有名。
幅約20メートルから170メートル、全長約3.6キロの砂州に約6,700本の松が生えている神秘的な造形で、全国から年間200万人以上の観光客が訪れます。
天橋立の歴史
天橋立の原型が生まれたのは今から約4,000年前。世屋川など丹後半島の東側の川から流出した砂や小石が海流で流され、海中に江尻側からほとんど真っ直ぐに堆積していきました。そして長い時間をかけて堆積した砂が、砂嘴(さし)となったのが天橋立です。
植物にとっては厳しい環境に松が増え、宮津湾と阿蘇海をへだてる絶景が生まれました。砂の堆積は平安時代から明治時代前期にかけても続いていたことが確認されています。
また天橋立の松原は昔から神聖な場所とされてきました。そのため伐採を制限され、美しい姿を現在まで保つことができたのです。
天橋立の見どころ
天橋立は天に架かる橋のようともいわれ、空と海とが逆転して天に架かる橋のように見える股のぞきでも有名です。
見どころとなっている展望所は、桃山時代の武将細川幽斎が桜を植えた桜山展望所や、みつばつつじの群生地として知られる獅子崎稲荷神社、天橋立を南側から一望できる天橋立ビューランド、北側から一望でき天橋立が昇り龍のように見える傘松公園などがあります。
そして松原を堪能するなら、遠くから眺めるだけでなく天橋立を散策するのもおすすめ。天橋立には、日本の道100選に選定された京都府道607号天の橋立線があり、近畿自然歩道にも指定されています。片道約50分で歩ける距離なので、ちょっとした散策にもぴったりです。
天橋立の松原には、九世戸の松や知恵の松など公募で名前がつけられた12本の老松や奇松もあるので、ぜひ探してみてくださいね。
天橋立(あまのはしだて)の基本情報 | |
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住所 | 京都府宮津市文珠天橋立公園 |
電話 | 0772-22-8030(天橋立駅観光案内所) |
営業時間 | 散策自由 |
休業日 | なし |
アクセス | 山陰近畿自動車道 与謝天橋立ICから各スポットへ |
料金 | 無料 |
公式サイト |
日本三大松原に行こう!
海岸沿いに松が広がる松原は白い砂と緑の松、青い海のコントラストが美しい景勝地。また適度な日陰と松の葉で弱められた潮風がさわやかで、散策が楽しめるのも魅力です。
日本らしい風情も楽しめる日本三大松原に、ぜひ出かけてみてください!
cover photo by PIXTA