
日本三大和牛をくわしく解説!松阪・神戸とあとひとつはどこ?
この記事では、日本三大和牛を紹介します。全国の牛肉を代表する松阪と神戸、そして3つめの候補となる銘柄牛について徹底解説。大人気ブランド和牛の特徴や歴史、それぞれの魅力をもっとも活かす食べ方にも迫りますよ!



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日本三大和牛とは?

日本にはたくさんの三大〇〇があります。日本三大祭りといえば、京都の祇園祭と大阪の天神祭、東京の神田祭といったように、日本三大〇〇は、歴史的書物に書かれたものや協会が定めたもの、広く一般に言われているものなど根拠はさまざまです。
そしてなかには三大といいながら3つに絞りきれていないものもたくさんあります。実は日本三大和牛もそのひとつ。決まった定義がなく、どの銘柄を三大とするかも公式に決まっていないため、いくつかのブランド和牛が三大和牛を名乗っています。
この記事では日本三大銘柄牛や日本三大ブランド牛とも呼ばれる日本三大和牛について解説。候補となる銘柄牛と、それぞれの魅力についてじっくり紹介します。
日本三大和牛の候補はどこ?

日本三大和牛は定説がないものの、以下の2つはほぼ確定しています。
- 松阪牛(三重県)
- 神戸牛(兵庫県)
そして残るひとつは諸説あるものの、多くの場合は以下の2つのうちどちらかの名前が挙がります。
- 近江牛(滋賀県)
- 米沢牛(山形県)
この当時、松阪牛、神戸牛、近江牛、米沢牛という4つの銘柄牛がとくに有名でした。そのため、1993年発刊の『日本三大ブック』(講談社)でも、日本三大和牛は掲載されていません。つまり日本の四大和牛としていずれも知名度が高かったので、3つに絞ることができなかったのです。
その他にもいくつかの銘柄牛の名前が日本三大和牛として挙がることもあるので、後半で紹介しましょう。
和牛とは?
日本三大和牛の前に、そもそも和牛とは何を表す言葉なのでしょうか?
和牛と似た表現で、国産牛という言葉があります。言葉のイメージが近いため和牛と国産牛は同じものだと思われがちですが、この2つは大きく異なります。
国産牛は日本で3ヶ月以上育てた牛
国産牛は、牛の品種に関係なく3ヶ月以上国内で肥育される、日本での肥育が最長など、日本で一定期間飼育された牛全般を指します。そのため、出生地が日本とは限らず、肥育場所と期間が基準となるのです。大きく分けると、ホルスタイン、黒毛和種、交雑種の3種類。
ホルスタインは乳牛としておなじみの牛です。牧場ではオスとメスの産み分けをしないので、メスは牛乳用、オスは肉用牛として育てられます。
また交雑種の多くは、メスのホルスタインとオスの黒毛和種の掛け合わせ。一般的なホルスタインより肉質が良く、交雑種の中には銘柄和牛を超える評価を受けたものもあるので、実はあなどれない存在です。
肉の表示で国産牛と書かれているものは、この交雑種かホルスタインのオスであり、種類の表示はとくに書かれていません。
和牛といえるのは4品種のみ
和牛は産地ではなく牛の品種を表す言葉。肉専用種として指定された黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種という4つの品種だけが和牛を名乗れると決まっています。実際には和牛のうち約9割は黒毛和種。日本三大和牛も黒毛和種です。
牛の品種を表す言葉なので、産地は無関係。アメリカ産和牛や、オーストラリア産和牛などもあります。
黒毛和牛には定義がある
ここで黒毛和種と黒毛和牛は違うのかと疑問を持った人もいるでしょう。実は黒毛和牛は、黒毛和種のうちある一定の基準を守った牛だけに許された名称。具体的には以下のような基準に沿っている必要があります。
- 品種:黒毛和種であること
- 生産地:日本国内で飼育されていること
- 血統:一定の血統基準を満たすこと
- 飼育方法:特定の飼育方法に従って育てられること
- 肉質評価:日本食肉格付協会(JMGA)による肉質評価で一定のランク(通常はA4やA5)を獲得すること
これらの基準を満たした牛肉だけが黒毛和牛として市場に出回ります。
肉の格付けについて
肉の品質でよく話題になるのが、黒毛和牛の定義にもある肉質評価の格付け。日本三大和牛の解説でも重要になってくるので、簡単に解説しましょう。
牛肉の格付けはアルファベットのA、B、Cと数字の1から5の組み合わせで表現します。よく目にするのはA5やA4ではないでしょうか。
このうちA、B、Cの3ランクは、肉の歩留まりを表しています。Aはたくさんの量の肉が取れ、Cは少しの量しか取れないという意味。肉の質ではなくどれだけ効率よく肉がとれるかを表しています。
一方、1から5までの数字は肉質を表しています。その評価の基準は肉の色・光沢・霜降り度合い・脂の質など。これを日本食肉格付協会認定の格付員が評価し、5が最高ランクとなります。
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松阪牛

松坂牛は、きめの細かいサシ(霜降り)、やわらかな肉質、深みのある甘く上品な香りが特徴。日本でもっとも有名な和牛のブランドです。一般的な和牛より不飽和脂肪酸を豊富に含んでいるのがポイント。そのため脂肪が溶け出す融点が低く、なめらかな口当たりになります。
松阪牛の歴史
現在の松阪市の周辺では、昔から農家が農耕用に牛を利用していました。松阪では、古くより但馬(兵庫県)で生まれ紀州(和歌山県)で 1年を過ごした牛を好んで購入していたそう。
この牛は農耕用として働きながら3~4年経つとよく太ったので、日本で牛肉が食べられるようになると肉牛として売り出されました。すると肉質のよい松阪の牛は大阪や江戸で大評判に。松阪周辺の各農家は肉牛の質をさらに向上させるよう工夫し、松阪牛は全国的に有名な銘柄牛に成長していきました。
その後、昭和10年に東京で行なわれた全国肉用牛畜産博覧会で、松阪牛が最高賞である名誉賞を受賞。日本を代表するブランド牛として認知されるようになったのです。
松阪牛の定義
松阪牛と名乗るための定義は厳密に定められています。
- 黒毛和種、未経産の雌牛
- 松阪牛個体識別管理システムに登録されていること
- 松阪牛生産区域(三重県中部の22市町村)での肥育期間が最長・最終であること
- 生後12ヶ月齢までに松阪牛生産区域に導入され、導入後の移動は生産区域内に限る
この条件をすべて満たして出荷されたものだけが松阪牛となります。
独自の基準にも注目
地域と飼育期間の厳密な決まりがある一方で、肉質の格付けによる規定がないのも松阪牛の特徴。そのためサシがほとんどない赤身の松阪牛も存在します。松阪牛のイメージにあるような霜降りの肉を買いたいときは、松阪牛が独自の基準で定めている表示にも注目してください。
- 特産松阪牛:黒毛和種の雌牛を松阪牛生産区域で900日以上肥育したもの
- 金:肉質等級が5のもの
- 銀:肉質等級が4のもの
松阪牛の読み方は何が正しい?
松阪牛は『まつさかぎゅう』という読み方と『まつさかうし』という読み方が混在していますが、両方正解です。ただし地元の松阪牛協議会では『まつさかうし』と呼ぶようにしているので、こちらの方が通っぽく聞こえるかもしれません。
また地元の発音にもっとも近く、これも正解だとされているのは『まっさかうし』という表記。少なくとも『まつざかうし』『まつざかぎゅう』と濁ることはないので注意してくださいね。
松阪牛の特徴
きめの細かいサシや深みのある甘い香りなどが松阪牛の特徴。これは松阪市周辺の環境と育て方の工夫によるものです。
きれいな水と温暖な気候が重要
松阪牛は宮崎牛や但馬牛など全国各地から高級な子牛を買い入れ、農家が3年ほど育てます。松阪牛の生産区域には櫛田川や宮川といった清流があるのが大きな特徴。滋養ゆたかできれいな水と伊勢平野の温暖な気候が品質の良い牛を育てます。
畜産研究所の研究によると松阪牛は肥育期間が長いほど脂肪融点が低く、滑らかな口当たりになるそう。環境のよさが肉質の決め手になっているのです。
それぞれの農家が育て方を工夫
松阪牛の飼育で重視されているのは、ストレスを与えないということ。農家1戸あたりの飼育頭数はとても少なく、牛がストレスを感じないように一頭ずつ個別の部屋でゆったり育てる農家もたくさんあります。
エサは稲わらや大豆粕、ふすま、大麦などの穀物。餌や育て方も農家それぞれが工夫して牛にストレスを与えないようにしています。有名なのは牛にビールを飲ませるということ。これは脂をつけるのではなく、牛の食欲がないときの食欲増進のための工夫です。
また焼酎でマッサージを行う農家もあります。ていねいにブラッシングなどのスキンシップをすることで牛は人間を信頼。ゆったり健康に育ちます。牛の気晴らしとストレス解消のための散歩も重要。適度な運動をすることで肥満を予防し、バランスよく筋肉もつけていきます。
松阪牛の定番の食べ方
松阪牛はきめ細かいサシとなめらかな口当たりを楽しむのがポイント。地元で定番の料理を紹介しましょう。
すきやき
やわらかい肉質と上品な脂肪、ゆたかな香りを存分に味わえるのが、すき焼き。松阪駅周辺には古くから松阪牛のすき焼きを提供する老舗がたくさんあります。
関東でも松阪牛=すき焼きというイメージは強く、松阪牛のすき焼きが食べられるお店はありますが、注意が必要なのは、関東のすき焼きと関西のすき焼きは違う料理だということ。松阪を含む関西のすき焼きは鉄鍋に牛脂を溶かし、その脂で肉を焼く料理で、焼いてから砂糖・醤油・酒などで味付けをしていきます。
しゃぶしゃぶ
しゃぶしゃぶも松阪牛にぴったりな食べ方。松阪牛のサシがやわらかく溶けることで、なめらかな食感を味わえますよ。また松阪牛のしゃぶしゃぶは赤身の肉もあっさりやわらかく仕上がります。
焼肉
松阪牛のやわらかさと脂の甘さを活かす食べ方がシンプルな焼肉です。高温で短時間焼くのが松阪牛の焼肉のコツ。こうすることで外は香ばしく中はジューシーに仕上がります。脂肪の融点が低いので、口の中でとろけるような食感を楽しめますよ。
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神戸ビーフ

世界中の多くのセレブも愛している神戸ビーフ。神戸牛を英語風に言ったものだと思われがちですが、実は神戸牛という銘柄は存在しません。お店には神戸牛と書いた肉があるものの、これは松坂牛や近江牛などのブランド牛に合わせた俗称で、正式な名前は神戸ビーフまたは神戸肉です。
神戸ビーフの歴史
神戸ビーフのはじまりは、慶応年間の開国。横浜港に外国人が大勢集まって肉を食べるようになると輸入だけでは牛肉が足りないため、農耕用の但馬牛を神戸港から横浜に売るようになりました。すると但馬牛を食べたイギリス人がその味を絶賛。出荷している港の名前をとった神戸ビーフとして外国へも輸出されるようになりました。
こうして生まれた神戸ビーフは長い年月をかけて改良を重ねていきます。昭和58年には神戸肉流通推進協議会が創設され、神戸ビーフの厳しい基準が定められてブランドの価値はさらに高まりました。
神戸ビーフの定義
神戸ビーフを認定しているのは神戸肉流通推進協議会。以下の定義を満たせば認められます。
- 兵庫県産の黒毛和種のうち、歩留等級がAまたはB等級であること
- 雌では未経産牛、雄では去勢牛
- B.M.S値がNo.6以上
- 枝肉重量が雌では270〜499.9kg、雄では300〜499.9kg
このすべての基準を満たせば、神戸ビーフ、神戸肉という正式名称や、神戸牛、KOBE BEEFという名前を使うことができます。
B.M.S.とは?
B.M.S.はビーフ・マーブリング・スタンダードの略で、赤身に対してどれだけ霜降り(サシ)が入っているかを表す基準。
No.1~No.12まであって、大きくなるほどサシが多い肉として評価されます。一般的にB.M.S.がNo.5〜No.7は肉質等級が4で、No.8以上は肉質等級が5。B.M.S値がNo.6以上の神戸ビーフは肉質等級4の中以上ということになります。
枝肉重量が決まっている理由
枝肉とは皮、頭、内臓等を除いた状態のこと。セリではこの枝肉の状態で取引されます。神戸ビーフに枝肉重量の規定があるのは、但馬牛はもともと枝肉重量の平均が420kg程度と一般的な黒毛和種より50kgほど小さいのが理由。
大きくなりすぎると但馬牛らしいキメの細かい肉質が損なわれることがわかっているため、上限が定められています。
神戸ビーフの特徴
神戸ビーフの特徴は、きめ細やかな霜降り、ゆたかな風味、繊細な食感だといわれています。松阪牛と同じく、神戸ビーフもきめ細かい脂肪が肉全体に均等に入っているのが特徴、また脂肪が低い融点で溶けるのも同じ。口の中でとろけるような食感を楽しめます。
また、肉のうまみ成分とされるイノシン酸が豊富なのも神戸ビーフの特徴。ほかの牛に比べてイノシン酸の量が多く、うまみが豊富であることがわかっています。
神戸ビーフの定番の食べ方
神戸ビーフはとろけるサシとうまみが魅力。その定番の食べ方は、海外セレブにも人気のステーキです。とくにステーキに向いているのは、サーロイン、リブロース、フィレ。牛の背中部分で、きめ細かい霜降りが楽しめます。
おすすめの焼き方はミディアムレア。両面がしっかりとした焼き色になったら弱火にして数分焼きます。ミディアムレアの焼き方なら霜降りの脂がやわらかく溶け、滑らかさを堪能できますよ。味付けは塩コショウまたは岩塩などで調える程度で。神戸ビーフ本来の深みのある味わいを楽しんでください。
近江牛

日本三大和牛は松阪牛と神戸ビーフ以外にもいくつかの候補がありますが、なかでもよく名前が挙がるのは近江牛です。それは近江牛がもっとも長い歴史をもつ銘柄牛として広く知られているから。
その歴史は神戸牛が約130年、松阪牛が約100年であるのに対して、近江牛は400年以上です。
近江牛の歴史
日本で牛肉が食べられるようになったのは明治の開国以降だといわれていますが、近江地方ではそれ以前から牛肉が食べられていました。江戸時代には養生の薬という名目で彦根藩から徳川将軍家へ牛肉を献上。大名にも牛肉の味噌漬や粕漬を贈っています。
明治時代に牛肉食が始まると近江牛の消費も拡大。多くの近江牛が神戸港から出荷されました。ただしこの頃は港の名前をとって神戸ビーフと呼ばれたため、近江牛の名前はあまり広まりませんでした。
しかし、明治22年に東海道本線が開通すると東京へ陸路で直輸送できるようになり、ようやく近江牛の名が使われるようになりました。 やがてそのおいしさから近江牛のブランドが定着。 今では三大和牛のなかでも圧倒的な生産量を誇っています。
近江牛の定義
近江牛の生産量が多いのは、その定義がゆるやかだから。
- 黒毛和種であること
- 滋賀県内で最も長く飼育されたもの
この2つが主な定義。格付けに基づいた定義がないことと飼育できる範囲が広いことから、銘柄牛としては生産量が多くなっています。
認定近江牛も
定義がないとはいえ、近江牛のうちA-4、B-4以上の格付けの枝肉には『認定近江牛』として認定書や認証シールが発行されます。近江牛らしい霜降りを堪能したい人は認定シールにも注目してください。
近江牛の特徴
近江牛が主に育てられているのは滋賀県東部。ここは米などの農業も盛んな地域で、餌の穀物と気候に恵まれています。とくにオレイン酸やリノール酸を多く含む近江米の藁や米糠を飼料として与えているため、霜降り度合いが高く、ゆたかな香りをもつのが近江牛の特徴です。
サシが多いのにしつこさがないのもポイント。また近江牛も全国の和牛と比べて脂の融点が低く、口の中でとろけるため、うまみが広がりやすいといわれています。
近江牛の定番の食べ方
溶けやすいなめらかな脂とゆたかな香りを持つ近江牛は、すきやきやしゃぶしゃぶ、ステーキ、焼肉で食べるのが定番。いずれも赤身がうっすら残る程度に熱して脂を軽く溶かしたところをいただくのがポイントです。
また、ビーフシチューに使うと、近江牛の脂のうまみが溶け込んで上品な味わいになります。肉はほろりとやわらかい食感になり、普通のシチューがゆたかな深みのある本格ビーフシチューに変身しますよ。
米沢牛

米沢牛は山形県米沢市周辺の銘柄牛。この米沢牛も三大和牛の1つとしてよく名前が挙がるブランド牛です。一般的に西日本では松阪牛・神戸ビーフ・近江牛が三大和牛と呼ばれ、東日本では松阪牛・神戸ビーフ・米沢牛が三大和牛と呼ばれることが多くなります。
松阪牛と神戸ビーフ、近江牛は東京への輸送が便利だったためによく知られるようになった銘柄牛。一方、米沢牛は異なる歴史を持っています。
米沢牛の歴史
米沢で牛が食べられるようになったのは明治4年のことです。米沢では四つ足の動物は食べない風習でしたが、興譲館という学校で教師を務めたチャールズ・ヘンリー・ダラス氏が牛肉を食べたのがそのはじまりといわれています。
米沢の牛肉のおいしさに感動したダラス氏は明治8年に任期を終えると一頭の牛を横浜へ連れていきました。すると彼の友人たちもその牛肉に感激。噂が広まって米沢牛は有名になっていきました。
肉牛としての米沢牛の生産が軌道に乗ったのは明治中頃。明治32年に奥羽本線が開通すると米沢駅で販売された米沢牛駅弁が高い人気を集め、米沢牛の名前はさらに全国区になりました。
米沢牛の定義
米沢牛の定義は米沢牛銘柄推進協議会が定めています。
- 黒毛和種の未経産雌牛であること
- 置賜三市五町に居住し米沢牛銘柄推進協議会が認定した者が飼育すること
- 飼育期間は登録された牛舎での期間が最も長く、18ヶ月以上であること
- 定められた市場に上場されるか定められた食肉センターでと畜されること
- 生後月齢32ヶ月以上で3等級以上の外観・肉質・脂質であること
などをすべて満たす必要があります。
米沢牛の特徴
米沢牛はきめ細かな霜降りと香りのよい脂、甘みのある赤身が特徴。 米沢牛の脂も良質で融点が低く、口に入れた瞬間にやわらかい食感と上質な脂の香りを楽しめます。
そんな米沢牛のふるさとは険しい山々に囲まれた置賜盆地。置賜盆地では、1日の寒暖の差、夏と冬の寒暖の差が激しいのも特徴。寒暖が短い期間で交互に繰り返されることで細かいサシが入り、肉もきめ細かく柔らかくなります。冬の寒さには脂の糖度を上げる効果もあるのだとか。
そんな厳しい環境の一方で、飼育場では牛舎の徹底的な清掃やていねいなブラッシングなどの手間をかけながら生後32ヶ月以上という長期間大切に育てられています。
ミネラル豊富な雪解け水
ミネラルをたくさん含んだ雪解け水が米沢牛をおいしく育てます。またその雪解け水のミネラルは田畑の作物にも蓄積。米沢牛の主な飼料となる稲わらからのミネラルも米沢牛の肉質を高めています。
米沢牛の定番の食べ方
米沢牛はステーキやしゃぶしゃぶで食べるのも定番。そして地元で愛されているのが、置賜(おきたま)風すき焼きです。
これは関西風の焼くすき焼きでも関東風の煮るすき焼きでもない、蒸すすき焼き。熱したすき焼き鍋に牛脂を溶かし、白菜、豆腐、しいたけ、糸こんにゃくといった具材を鍋に敷き詰めます。そして野菜の上に被せるように牛肉を広げてのせ、割り下を加えて、蒸気で肉に火を通します。牛肉の色が変わったら割り下にさっとくぐらせて完成。生卵をつけていただきます。
日本三大和牛に含まれないその他のブランド和牛は?

日本には三大和牛として名前が挙がる4つの和牛のほかにも見逃せないブランド和牛があります。ここからはそんな銘柄牛を紹介しましょう。
前沢牛
味の芸術品と呼ばれる銘柄牛
前沢牛は全国肉用牛枝肉共励会で最高位の名誉賞を6度も獲得した銘柄牛。きめ細かな霜降りとしっとりやわらかい肉質から、味の芸術品とも呼ばれています。
そんな前沢牛は岩手県奥州市前沢で肥育される黒毛和種のブランド牛肉。岩手ふるさと農業協同組合の登録商標で、こちらも三大和牛の1つといわれることもありますよ。
前沢牛の定義には、岩手県奥州市前沢の生産者が育てることや生産者が1年以上飼養すること、肉質等級が4以上、歩留等級がAまたはBであることなどがあります。
前沢牛の定番の食べ方
前沢牛もステーキやしゃぶしゃぶが定番の食べ方です。またやわらかい肉質が際立つシンプルなローストビーフも人気。くちどけのよさを堪能できます。
飛騨牛
霜降りがとても多い桜色の銘柄牛
飛騨牛は、肉質等級で5となる割合が全国平均を大きく上回る銘柄牛。霜降りがとても多く、美しい桜色で筋肉の繊維が細かく、やわらかいのが特徴です。脂の質がよいので、うまみと甘みがゆたかなのに後味はさっぱりとしています。
飛騨牛の定義には、飼養期間が最も長い場所が岐阜県であること、14ヶ月以上肥育された黒毛和種の肉牛、牛枝肉格付により肉質等級5等級・4等級・3等級と格付けされることなどがあります。
飛騨牛の定番の食べ方
霜降りが多いものの、肉質がしっかりしていて赤身と脂肪の調和がよいのも飛騨牛の特徴。そんな飛騨牛を楽しむなら、シンプルに塩とコショウで味付けしたステーキがおすすめです。部位は、サーロインやリブロースが人気。霜降りの脂肪と赤身の絶妙なバランスを味わえます。
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宮崎牛
高品質な子牛で知られる宮崎県で誕生した銘柄牛
宮崎は優秀な種牛の研究と肉用子牛の品質で知られる県。宮崎県生まれの子牛の半数近くが県外に出荷されて松阪牛など全国のブランド牛として育てられています。1970年代から飼育体制を整え、そんな子牛を宮崎県内でそのまま育てたのが宮崎牛。5年に1度開かれる全国和牛能力共進会では2007年から4大会連続で内閣総理大臣賞を受賞しています。
宮崎牛の特徴は極上な肉質ときめ細やかなサシです。やわらかな食感となめらかな舌触り、濃厚なうまみ、ほのかな甘みと芳醇な香りが口いっぱいに広がります。
宮崎牛の定義としては、黒毛和種であること、宮崎県での飼養期間が最長であること、肉質等級が4等級以上であることなどがあります。
宮崎牛の定番の食べ方
宮崎牛の定番もステーキ。厚切りの宮崎牛をシンプルに塩とコショウで味付けし、強火で焼き上げます。レアからミディアムで中をジューシーに仕上げるのがコツ。また焼いた後に少し休ませることで、肉汁が全体に行き渡り、肉本来の甘みやうまみを堪能できますよ。
牛すき煮も宮崎牛の定番。砂糖、醤油、みりんの甘辛いタレでさっと煮ると、宮崎牛の脂がタレに溶け込んで具材のネギや豆腐、しらたきも絶品になります。
仙台牛
肉質等級5ランクしか認められない銘柄牛
仙台牛は、米どころ宮城のササニシキやひとめぼれなどの稲わらをぜいたくに食べて育つ牛。全国で唯一、肉質等級が5ランクでなければ認定されないブランド牛です。宮城は有名な子牛の産地。優秀な子牛を自然ゆたかな環境で育てることで、味のブレが少ない仙台牛のおいしさを守り続けています。
口当たりがよくやわらかで、まろやかな風味、そして脂肪と赤身のバランスが絶妙であることと、ゆたかな肉汁が特徴です。
仙台牛の定義としては、黒毛和種であること、宮城県内で肥育された肉牛であること、A5またはB5に評価されたものなどがあります。
仙台牛の定番の食べ方
必ず5ランクになる仙台牛はサシのおいしさを味わえるステーキやすき焼きが定番。最近はぜいたくな仙台牛ハンバーグも流行っています。肉質がやわらかく肉汁が豊富なので、驚くほどジューシーなハンバーグに仕上がりますよ。
佐賀牛
艶さしと称される銘柄牛
佐賀牛はやわらかな赤身、艶さしと呼ばれるきめ細かな美しい霜降りが特徴のブランド牛。良質な自然水や、佐賀県産の稲わらなどを使ったJAグループ佐賀の濃厚な統一飼料で丈夫に大きく育てられます。
佐賀牛の定義としては、JAグループ佐賀管内の肥育農家で飼育されること、黒毛和種であること、肉質等級で5等級または4等級のBMSがNo.7以上など。BMSがNo.7以上という基準は仙台牛に次ぐ厳しさです。
佐賀牛の定番の食べ方はステーキ
佐賀牛の特色は、全体が桜色に見えるほどの美しい艶さしです。その霜降りを最大限に楽しめるのがさっと焼いたレアのステーキ。佐賀牛のとろける口どけを堪能できます。リブロースやサーロインなら最高。赤身のステーキの方が好きなら、きめ細かでやわらかい赤身が楽しめるヒレのステーキもおすすめです。
日本三大和牛を食べ比べよう!
日本三大和牛はいずれも上質なサシが自慢。清らかな水と牛に適した環境、愛情を込めた肥育でやわらかくとろける口当たりを実現しています。
同じように見えても味や香りに違いがあるのも銘柄和牛のおもしろいところ。三大和牛の候補となっている4つの銘柄和牛だけでなく、全国のブランド和牛を食べ比べてみるのもおすすめです!
cover photo by PIXTA