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日本三大うどんを解説!讃岐・稲庭とあとひとつはどこ?

この記事では日本三大うどんを紹介します。日本三大うどんは、香川県の讃岐うどんと秋田県の稲庭うどん、そしてもうひとつは何でしょうか?実は諸説ある日本三大うどんの特徴と魅力、歴史や定番の食べ方をわかりやすく解説します。

ライター
Satoshi Nakamura
日本と世界を旅する釣り大好きアウトドア系ライター。テレビのリサーチ&構成作家として鍛えたスキルを活かして、旅先の歴史やみどころ、おいしいものを徹底調査してから訪れるのがモットー。これまでにアメリカのルート66走破とグランドサークルドライブ旅(2周)、日本の47都道府県ドライブ旅を達成し、現在は47都道府県での釣果達成にも挑戦中!
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この記事では日本三大うどんを紹介します。日本三大うどんは、香川県の讃岐うどんと秋田県の稲庭うどん、そしてもうひとつは何でしょうか?実は諸説ある日本三大うどんの特徴と魅力、歴史や定番の食べ方をわかりやすく解説します。

Contents

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日本三大うどんとは?

Photo by unsplash

日本三大銘茶といえば、宇治茶、静岡茶、狭山茶。日本三大珍味といえば、カラスミ、このわた、ウニ。このように食に関する多くの三大〇〇はしっかり定まっています。しかし日本三大うどんは定説がないようです。

日本三大うどんの候補は?

日本三大うどんは、特定の書物や協会などが定めたものではなく、世間で一般的にいわれている定義。そのためさまざまな説があります。その候補として確定しているとされるのは、以下の2つです。

  • 讃岐うどん(香川県)
  • 稲庭うどん(秋田県)

讃岐うどんと稲庭うどんは多くのうどんの中でも日本三大うどんとしてほぼ必ず名前が上がります。そして三大うどんの3つめは説がさまざま。主な候補として以下の4つが上がります。

  • 五島うどん(長崎県)
  • 水沢うどん(群馬県)
  • 氷見うどん(富山県)
  • 名古屋きしめん(愛知県)

このなかでも名古屋のきしめんはうどんとしては少し特殊ということで、これを外したものを『日本五大うどん』と呼ぶこともあります。しかしいずれにしても上記の6つのうどんは日本三大うどんとしてよく名前が上がります。

日本三大うどん候補の特徴

では日本三大うどんの候補になっているうどんの特徴をまとめてみましょう。

産地

製法

形状

讃岐うどん

香川県

手打ち

四角く太い

稲庭うどん

秋田県湯沢市

手延べ

平たく細い

五島うどん

長崎県五島列島

手延べ

丸く細い

水沢うどん

群馬県渋川市

手打ち

四角くやや太い

氷見うどん

富山県氷見市

手打ち+手延べ

平たく細い

名古屋きしめん

愛知県名古屋市

手打ち

幅広く薄い

製法や太さ、形状にそれぞれの特徴がありますね。

手打ち、手延べとは?

うどんの製法には、大きく分けて手打ちうどんと手延べうどんがあります。手打ち製法は、練った生地を麺棒などで薄く伸ばしてから包丁で麺の太さに切る製法。包丁で切るので断面は四角くなります。一方、手延べ製法は、練った生地を引っ張って延ばしていく製法。切断面がないので丸く滑らかな楕円形になります。

ただしひとことで手打ちや手延べといっても、日本三大うどんの製法は単純ではありません。それぞれに独自の工夫がある6つのうどんには、どのような違いがあるのでしょうか、ここからはもっとくわしく各うどんの特徴を紹介していきましょう。

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讃岐うどん

コシが自慢!日本一有名なご当地うどん

By sekido - るみばあちゃんの讃岐うどん, CC BY 2.0

讃岐うどんは、香川県のご当地うどん。あまりにも有名でおいしく、全国に讃岐うどんの店が広まっているので、食べたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

讃岐うどんの特徴

讃岐うどんは、喉ごしがよくてコシが強い食感の麺が特徴。このうどんのコシとは麺の硬さではなく、噛むとほどよい弾力があってもちっとしていることです。

讃岐うどんの定義は『名物』や『本場』に注目!

コシのある讃岐うどんは、今では日本のうどんのひとつのスタンダードにもなっています。では讃岐うどんの定義とは何なのでしょうか?

讃岐うどんの定義を定めているのは、生めん類の表示に関する法律の『公正競争規約および公正競争規約施行規則』。そこでは以下のように定められています。

  • 香川県内で製造されたもの
  • 手打ち、または手打ち式(風)のもの
  • 加水量が小麦粉の総重量に対し、40%以上
  • 食塩が小麦粉の総重量に対し、3%以上
  • 熟成時間は2時間以上
  • ゆでる場合は、ゆで時間15分で充分にアルファ化されていること

まず香川県内で生産されたものというのが大きな特徴。ただし実際には香川県以外で作られたのに讃岐うどんと名乗ることもよくあります。それは公正な表示として『本物』『本場』『名物』などと名乗るときだけこの規則が適用されるから。讃岐うどんを食べるときは『本場』や『名物』などの表示にも注目してくださいね。

強いコシを生む足踏み

讃岐うどんの強いコシの秘密は、足踏みという製法。硬練りという生地をしっかりこねる工程で練った生地を数枚ほど重ね、上に乗ってしっかりと踏み込みます。今はビニールで生地を包んで行いますが、昔はゴザの上から踏むのが常識でした。この工程が入ったのは、たんぱく質が少ない中力粉が使われており、現在の小麦と比べてグルテンの弾力が弱かったため。しっかり踏みしめる工程を入れないと、うどんの噛みごたえや弾力が出なかったのです。現在の小麦はたんぱく量が増え、グルテンの弾力も上がっていますが、昔ながらの製法は今も残っています。

熟成時間も重要

足踏みをして生地を折りたたむ作業を繰り返すと讃岐うどん特有の強いコシが生まれますが、このままだと生地はただ硬いだけになってしまいます。そこで重要なのが、生地を休ませる時間。熟成させると生地の緊張がほぐれるので、そのタイミングでまた足踏みを繰り返します。このような時間と労力をかけておいしい讃岐うどんの麺ができるのです。

イリコ出汁も欠かせない

讃岐うどんのもうひとつの特徴が出汁(だし)。瀬戸内海のカタクチイワシの煮干し(イリコ)を使います。讃岐うどんらしい甘みとコクがあるツユにはこのイリコが欠かせません。なかでも一級品と呼ばれているのが、伊吹島産のイリコ。おいしい讃岐うどんを食べたい方は煮干しの産地にもこだわってみてください。

讃岐うどんの歴史

讃岐うどんの歴史はとても古く、讃岐出身の弘法大師・空海が806年に唐(現在の中国)から麺類の製法持ち帰ったともいわれています。一方で香川県は降雨量が少なく米づくりに適さない土地。そのため小麦の生産が盛んになり、製塩や醤油作りも盛んだったことからうどん文化が定着しました。多くの農家がうどん作りの技術を伝承しながら磨き続け、おいしい讃岐うどんが完成したのです。

讃岐うどんの食べ方やメニューは?

はじめて香川県の讃岐うどんのお店に行くと、メニューの多さやセルフ方式に戸惑うことがあるかもしれません。讃岐うどんの代表的なメニューや食べ方について紹介します。

かけうどん

讃岐うどんの基本のひとつが、かけうどん。注文するとお店によってはどんぶりに麺だけが入って出てきます。その場合は会計後に自分で出汁ポットから出汁をかけるのが流儀です。このとき出汁は入れすぎず、麺が浸るくらいが適量。またイリコの風味を楽しむためにはネギや天かすなどの薬味を入れすぎないことも大切ですよ。

ぶっかけうどん

ぶっかけうどんは、かけうどんの出汁よりも濃い味の出汁を麺に直接かけていただく食べ方。ゆであがった麺を冷水で締めて食べる冷たいぶっかけうどんと、冷水で締め、さらに温め直してから出汁をかける温かいぶっかけうどんがあります。ネギや大根おろしなどがトッピングされていることも多いので、具と一緒にかき混ぜて食べてください。

生じょうゆうどん

もっともシンプルな食べ方が、生じょうゆうどん。冷水で締めた麺に直接しょうゆをかけて食べます。麺のおいしさがストレートに味わえることで讃岐では人気の食べ方です。生姜とネギをからめて食べるのが定番。そのままかけるだけに醤油にも各店のこだわりがあります。

釜揚げうどん

釜の中でゆであがった麺とゆで汁をそのまま器に移したうどん。つけ出汁につけながら食べます。麺を冷水で締めないのが特徴。つるつるの喉ごしの代わりに、ふんわりとした食感を味わえます。

湯だめうどん

釜揚げうどんのようにお湯と一緒に器に入った熱いうどんをつけだしで食べます。釜揚げとの違いは、ゆであがった麺を一度冷水で締めた後にもう一度お湯で温め直すこと。こうすることでつるつるの食感が楽しめます。

釜玉うどん

釜でゆであがった麺を冷水で締めずに器にいれ、生たまごと醤油で食べるのが釜玉うどんです。水で締めていないふわふわの麺にたまごがからむことで、まろやかな味わいと豊かな風味が堪能できます。

讃岐うどんの手作り体験ができる施設

中野うどん学校 高松校では、讃岐うどんの本場である香川県で、讃岐うどん作りの体験ができます。こねる、踏む、延ばす、切る、茹でるといったうどん作りの工程を、経験豊かなスタッフに教えてもらいながら実践できます。うどんの作り方だけでなく、讃岐うどん文化や歴史も学べるので、旅行の思い出としてもぴったりです。自分で作ったうどんをその場で食べることができるのも魅力的ですね。

中野うどん学校 高松校の基本情報

住所

香川県高松市成合町8

電話

087-885-3200

受付時間

9:00~17:00

休業日

詳しくは公式サイトをご確認ください

アクセス

高松西ICより約3分

香東中学校前で下車、徒歩約1分

料金

うどん作り体験1,760円
※2~14名様まで

公式サイト

https://udonschool.jp/

稲庭うどん

​殿様にも献上されたつるつるの手延べうどん

By タクナワン - Own work, CC BY-SA 4.0

稲庭うどんは、秋田県南部で作られている手延べ製法による干しうどん。讃岐うどんと並んで日本三大うどんには必ず入る有名なうどんです。

稲庭うどんの特徴

稲庭うどんの特徴は、手延べの乾麺または半生麺であること。細めの麺はゆで上がりが早く、なめらかでつるつるとしたのどごしになります。製法や産地には厳密な決まりがあり、小麦粉・食塩・水・でんぷんを使用し、2日以上かけてじっくり乾燥させるのが伝統的な作り方です。定められた職人技の製法を使って稲庭地方で作られたものでなければ稲庭うどんと名乗ることはできません。

なめらかさを生む手綯いの作業

稲庭うどんのつるつるとした食感を生むのは、手綯い(てない)と呼ばれる工程。巻いた生地を2本の棒へ8の字に綾かけしていく作業で、そうめん作りに似ています。讃岐うどんのように手打ちした生地を包丁で切るのではなく、棒にかけた生地を延ばして乾燥させます。また稲庭うどん独特のやや平らな麺になるのは、延ばす過程で麺を潰すからです。丁寧に延ばしていくことで、稲庭うどんはのどごしのよいうどんになります。

稲庭うどんの工程

  1. 練り:小麦粉に対して食塩水を55%以上加えて生地をつくり、熟成。
  2. 切り:生地を平らに延ばして包丁で一定の幅に切る。
  3. 小巻き:切った生地を転がしながら丸い紐状にし、巻いていく。
  4. 手綯い:小巻きした生地を2本の棒に8の字にかけて細くしていく。
  5. つぶし:手綯いした生地をつぶし棒でつぶして平らにする。
  6. 延ばし:つぶした生地を干し台にかけて延ばす
  7. 乾燥:延ばした生地を乾燥させる。

こうして3日から4日かけて稲庭うどんの乾麺が完成します。

稲庭うどんの歴史

稲庭うどんは1665年に稲庭吉左ヱ門という人物が地元産の小麦粉を使ってうどんを干す製法を確立したといわれています。なめらかで上品な稲庭うどんはたちまち評判に。秋田藩の殿様にも献上され、秋田の名品として各藩への贈答品になりました。

稲庭うどんの食べ方は?

稲庭うどんは、つるつるの麺の上品なのどごしを味わう料理。そのため食べ方はとてもシンプルです。

かけうどん

もっとも一般的な食べ方がかけうどん。つるつるの食感を実現するためにゆであがりを素早く氷水で冷やして締めてからもう一度温めています。つゆは出汁、しょうゆ、みりん、砂糖のシンプルなもの。とても上品なうどんです。

つけうどん

冷たいつけうどんも定番。かつお節などの出汁が効いた濃いめの醤油つゆ、またはごま味噌ベースのつゆをつけるのが一般的です。

家でのおいしい食べ方

乾麺が一般的な稲庭うどんは、お土産に買ってきたものを自宅でもおいしくいただけます。

大きな鍋にたっぷりのお湯を使う

おいしいゆで方のコツは、できるだけ大きな鍋を使い、鍋の中でうどんが踊るようにゆでること。一人前の80g〜100gに対して1ℓ以上の水が必要です。お湯が完全に沸騰してからうどんを広げて落とすように入れてください。麺同士がくっつかないように、かき混ぜながら茹でるとよいでしょう。

差し水をせず、短時間でゆでる

吹きこぼれそうになったら火を弱めて沸騰を抑えるのもコツ。差し水は禁止です。そしてうどんが透明っぽい乳白色になったらOK。稲庭うどんは1分から3分ほどでゆで上がるので、商品の説明をしっかり読んでゆですぎないようにしてくださいね。

冷水でしっかり締め、ぬめりを落とす

ゆであがったら、素早くざるにあげてお湯を切ります。そしてしっかり冷水をかけて粗熱をとりながら麺を引き締めます。できれば氷水をつかうのがおすすめ。粗熱を取ったらボウルに冷水と麺を入れ、表面のぬめりをもむようにして落としていきます。素早くしっかり冷やすのがコツです。

冷たいつけうどんがおすすめ

家庭で食べるときは冷たいつけうどんがおすすめ。稲庭うどんならではのなめらかなのどごしが味わえます。昆布だし系のあっさりとしためんつゆと合わせれば、小麦の味わいもストレートに楽しめますよ。またのどごしがいいので、つるっとで食べられるのもポイント。熱い夏には梅干しを乗せてさっぱりと食べれば食欲もアップします。

比内地鶏や貝と相性ばつぐん!

お土産で買うなら比内地鶏つゆが人気。肉の味がしっかり出たスープと稲庭うどんの相性はばつぐんです。また温かいうどんの場合、貝ベースのスープに稲庭うどんを合わせるのもおすすめですよ。

稲庭うどんの手作り体験ができる施設

稲庭うどんの老舗、佐藤養助総本店では、稲庭うどんの工場見学と手作り体験ができます。稲庭うどんの特徴である手綯いを中心にうどん作りの工程をしっかり教えてもらいながら作れるので、旅の思い出にもなりますよ。

佐藤養助総本店 手作り体験の基本情報

住所

秋田県湯沢市稲庭町字稲庭20(別館 養心庵)

電話

0183-43-2911

受付時間

11:00~14:00

休業日

年末年始など

アクセス

湯沢横手道路 湯沢ICから車で約20分

JR湯沢駅からバスに乗り、稲庭中町バス停で下車、徒歩約1分

料金

30分コース 中学生以上 2,000円、小学生1,500円

60分コース 中学生以上 3,300円、小学生2,200円

公式サイト

https://www.sato-yoske.co.jp/inaniwa-udon/experience/

五島うどん

椿油を使って延ばすそうめんのようなうどん

photo by PIXTA

五島うどんは、長崎県の上五島発祥のうどん。稲庭うどんのような手延べの乾麺ですが、製法はかなり異なっています。

五島うどんの特徴

五島うどんは、特産の椿油を塗りながら引き延ばすことと、何度も熟成を重ねてじっくりと乾燥させることが特徴。その結果、細いのにコシが強く、切れにくい麺になります。艶があってつるつるとした見た目と滑らかな食感、小麦と椿油が調和した奥深い味わいが魅力です。

椿油と熟成が決め手

五島うどんは棒状に延ばした生地を二本の棒にかけて引き延ばしては束ねる作業を繰り返し、だんだんと細い麺にしていくのが特徴。この製法はそうめんに似ています。麺の太さは直径2mmほどと細く、麺の断面もそうめんに近い丸い形になります。 これは稲庭うどんのように2本の棒にかけた後に生地を麺棒で押し延ばす工程がないから。また稲庭うどんの場合は麺を熟成させる工程で麺の生地同士がくっつかないようにでんぷん粉を振りかけますが、五島うどんは代わりに椿油を塗って熟成させながら引っ張って延ばしていきます。こうすることで麺の細さと強いコシ、のどごしのよさが生まれるのです。

五島うどんの工程

  1. 練り上げ:小麦粉を五島の水と五島灘の自然塩で練り上げる。
  2. 足踏み:練り上げた小麦粉を500回ほど足で踏みならす。
  3. 切り廻し:大きな円盤状の生地を渦を巻くように包丁で切る。
  4. 細目:切った生地を渦巻き状に廻しながら表面に椿油を塗り、数段重ね合わせていく。
  5. こなし:麺が直径1cmになるまで切り廻しの作業を続け、寝かせる。
  6. かけば:ひも状の生地を2本の竹管にヨリをかけながら8の字にかけ、熟成する。
  7. こびき:熟成した麺を約50cm前後に引き延ばす。
  8. はたかけ:麺を引き伸ばしながらハシで分け、密着しないようにしてハタ付けを行う。
  9. 乾燥:風を送りながらじっくり時間をかけて乾燥させる。
  10. こわり:乾燥した麺を製品サイズに切断する。

五島うどんは3日ほどかけて熟成と乾燥を行っています。

五島うどんに欠かせないアゴダシのつゆ

五島うどんに欠かせないのが、アゴダシです。これは秋に漁の最盛期を迎えるトビウオを炭火で焼いて干した『焼きあご』からとれる出汁。あっさりしていながら深い旨みが残るアゴダシの上品なおいしさが五島うどんにぴったりと合います。

五島うどんの歴史

五島列島は、一説にはうどんが中国から最初に伝来した地。その説によると7世紀から9世紀に遣唐使が伝えたそうで、唐のお菓子の掛巻と呼ばれる手延べ製法や、岩坦索麺、索餅の手延べ製法が変化して五島うどんになったとされています。

ほかにも鎌倉時代の元寇で捕虜になった兵士からうどん作りを学んだという説や、15世紀に中国の貿易商人が五島列島にうどん作りを伝えたという説、江戸時代に本土から学んだという説、四国のうどん職人から学んだという説もあり、そのはじまりははっきりしていません。しかし少なくとも江戸時代には冠婚葬祭の際に出す特別な料理として広まっていたことがわかっています。

全国的に知られるようになったのは太平洋戦争後。離島の隠れたうどん、幻のうどんとして有名になりました。

五島うどんの食べ方は?

五島うどんは稲庭うどんと比べてゆで時間が長い代わりにのびにくく、釜揚げうどんや鍋物に適しています。

地獄炊き

五島で定番の食べ方が、地獄炊き。鍋で茹で上げた五島うどんを水洗いせず、熱々のまま鍋から直接すくって食べます。たっぷりのお湯が沸いている様子が地獄に見えることから名付けられたとも、初めて食べた旅人が『しごくおいしい』とほめたのが『地獄おいしい』と聞こえたことが由来ともいわれています。

地獄炊きは、大勢で鍋を囲みながらいただく素朴な料理。つけ汁はアゴダシのタレが定番です。またダシ醤油を加えた溶き卵や薬味と一緒にいただくこともよくあります。

すき焼きうどん

五島うどんは煮くずれしにくいので、すき焼きにプラスするのにぴったり。すき焼きの甘い肉汁が五島うどんにからんで絶品です。そのほかお好みの鍋のシメに加えてもおいしくいただけますよ。

家でのおいしい食べ方

五島うどんは稲庭うどんよりも細いのにゆで時間は長いのが特徴。乾麺を買ってきて家でゆでる場合は、指定の時間を守るようにしてください。

ゆで時間は7〜8分ほど

鍋に麺100gにつき1ℓ以上のお湯を沸かし、しっかり沸騰してきたら麺を広げるように入れて箸で軽くまぜます。再び煮立ったら吹きこぼれない程度の火加減にして7~8分ほど煮ます。

地獄炊きは洗わない

麺がやや透明になったらゆで上がり。すぐにザルに移して流水でしっかり水洗いしてください。ただし地獄炊きの場合は水洗いをせず、茹で上がった麺を鍋から直接いただきます。

つけ汁はアゴダシの粉末もおすすめ

冷やしざるうどんなどの場合、つけ汁は一般的なだし醤油を薄めたものでもOK。ただしこちらも五島列島のお土産として人気のアゴダシの粉末スープなどを利用してアゴダシつゆを作れば、より本格的な味が楽しめます。

五島うどんの手作り体験ができる施設

船崎うどん伝承館は、五島うどんの発祥の地といわれる船崎地区にある施設。手延べ製法の五島うどん作りの工程のうち、かけば・こびき・はたかけの作業を体験できます。作ったうどんは乾燥してから自宅に送ってくれるのもうれしいポイント。自分へのすてきなお土産になりますよ。

船崎うどん伝承館 五島手延うどん作り体験の基本情報

住所

長崎県南松浦郡新上五島町船崎郷497

電話

0959-42-5005

営業時間

8:30~17:00

2日前までに要予約

休業日

お盆

12/29~1/3

アクセス

有川港から車で約20分

料金

大人(中学生以上)4,000円、小学生 3,500円、3歳〜幼児 3,000円

公式サイト

https://shinkamigoto.nagasaki-tabinet.com/activity/10388

水沢うどん

うどん街道を訪ねたい!つるつるの半生麺

By User: (WT-shared) NY066 at wts wikivoyage, CC BY-SA 3.0

水沢うどんは、小麦粉、水、塩というシンプルな材料で作られる手打ち製法のうどん。純白でコシが強く、つるっとした喉ごしが特徴のうどんで、地元などでは日本三大うどんのひとつと認識されています。

水沢うどんの特徴

水沢うどんは群馬県渋川市の水沢地区で発展したうどんです。太めの麺と強いコシが特徴。製法はシンプルですが、小麦と塩に加えて水沢の名水「水沢の湧水」を使用するのが決まりです。また20以上の工程が定められていて、そこから外れたものは水沢うどんと名乗ることはできません。

1時間の乾燥が決め手

水沢うどんは踏んで伸ばす作業を10回ほども繰り返すことで独特のコシを生み出します。さらに蒸籠で寝かせることと、短時間の天日干しを2回行うのが大きなポイント、乾燥は1時間ほどなので乾麺ではなく半生になり、透明感のある水沢うどんができあがります。すべての作業で、季節や湿度による水分量の微妙な調整が必要。水沢の気候をよく知る職人ならではの技量が求められます。

水沢うどんの歴史

群馬は長い日照時間、水はけが良い土という小麦の栽培に適した特徴を持つ土地。そのため昔から小麦の栽培が盛んに行なわれ、うどんを食べる習慣が根付きました。その群馬にうどんの製法を伝えたのは、飛鳥時代に水澤寺の創建に尽力した高麗からの渡来僧。安土桃山時代の天正4年(1576年)頃には湯治客や参拝者に地元産の小麦と水沢の湧水で打ったうどんをふるまうようになりました。そのなめらかな食感が評判を呼び、水沢うどんは一躍名物に。以来、多くの旅人をもてなしながら水沢うどんは発展してきました。今でも水澤寺の門前にはたくさんのうどん店が並び、水沢うどん街道と呼ばれています。

水沢うどんの食べ方は?

長い間門前町で提供されてきた水沢うどんには、伝統的な食べ方があります。

冷やしざるうどん

水沢うどんは、冷やしざるうどんで食べるのが主流。2種類のつゆがあり、上質な昆布と鰹節でだしをひいた醤油ダレと、香ばしいすりごまを使った胡麻ダレでいただきます。一度に2種類の味が楽しめるのも水沢うどんの特徴です。つゆの種類や味は店舗ごとに工夫していてかなり異なるので、食べ比べをしてみるのもおすすめです。

水沢うどん街道は外せない!

水沢うどんはお取り寄せで食べることもできますが、やはり本場の水沢うどん街道で打ち立てを味わうのがおすすめ。水澤観世音へ続く1.5kmの道に13軒の老舗と名店が点在しています。

  • 元祖 田丸屋:天正10年から創業している老舗
  • 清水屋:400年以上の歴史を持つ老舗
  • 本舗 丹次亭:300gと500gから量を選べる老舗
  • 大澤屋 第一店舗:300席もある大きなお店
  • 水沢うどん 松島屋:古民家のような雰囲気の老舗
  • 水沢手打ちうどん 三升屋:メニューはうどんのみのシンプルなお店
  • 谷屋:上州物産館の姉妹店で、水沢うどんを購入可能
  • うどん茶屋水沢 万葉亭:湯の花まんじゅうのサービスもあるお店
  • 水沢うどん 水澤亭:お子様メニューもあり子連れにもおすすめのお店
  • 岩戸屋:水沢うどん街道の端にある穴場でていねいな接客も魅力のお店
  • 水沢うどん 水香苑:料理の魅力が引き立つ器も魅力のお店
  • 山本屋:店内に並べられた骨董品も魅力のお店。
  • 山源:手作業にこだわりを持っているお店

水沢うどん街道の基本情報

住所

水澤観世音

群馬県渋川市伊香保町水沢214

電話

店舗により異なる

営業時間

店舗により異なる

休業日

店舗により異なる

アクセス

JR高崎駅またはJR渋川駅からバスに乗り、水沢観音バス亭で下車

関越自動車道 渋川伊香保ICから車で約20分

料金

公式サイト

https://www.ikaho-kankou.com/eat/udon/ 

氷見うどん

手打ちと手延べを融合した強いコシのうどん

By ナイトキャビン - Own work, CC BY 4.0

氷見うどんは、富山県の氷見市で発展したうどん。平たくて細い断面と強いコシ、粘り、餅のような食感とのどごしの良さを楽しめるうどんです。

氷見うどんの特徴

氷見うどんの特徴は、稲庭うどんや五島うどんのような手延べうどんなのに手打ちの手法も取り入れていること。手打ち製法で練りあげた強い生地を綾掛けして引き延ばします。その作り方で生まれる特徴は、細さと滑らかさ。他のうどんに比べて細めの麺は、しなやかな弾力を感じることができます。また豊かな小麦の風味と甘みも特徴。これは氷見のおいしい水を使い、油を使わずに伸ばすことで生まれるもの。麺の表面はつるつるで喉ごしもばつぐんです。

ちなみに氷見うどんという名称はある会社の商標なので、一般的な言葉としては氷見のうどんや、氷見産うどんと呼ぶのが正解。看板に『氷見のうどん』とあっても偽物ではありません。

手打ちの技法が大きな特徴

手延べうどんは二本の棒にかけて引っ張り延ばすため、麺が折れないように強いコシを出さないのが一般的。しかし氷見うどんは手打ちの手法でコシを出してから引き延ばします。

まずは生地をしっかりと時間をかけて練り上げ、冷暗所で熟成するのが特色。寒さが厳しい冬の氷見の環境でじっくり熟成させることで強いコシが生まれます。

自然乾燥でゆっくり乾かす

手延べで細く延ばした後は自然乾燥するのも特徴。風通しのよい場所を選び、時間をかけて乾燥させることでうどんのなめらかな食感と豊かな風味を保っています。

氷見うどんの歴史

氷見うどんのルーツは輪島のそうめん。宝暦元(1751)年に氷見の高岡屋が輪島から技法を取り入れて作りはじめました。そうめんのように細いので、当時の名前は糸うどん。このうどんは加賀藩御用達うどんとして広まり、現在の氷見うどんに繋がります。

氷見うどんの食べ方は?

氷見うどんは、定番の細麺のほかに太麺もあって、それぞれに異なる食べ方があります。

細麺はシンプルにつるつる食感を楽しむ

ルーツのそうめんに近い細麺はシンプルな食べ方が主流です。一般的なのは温かいかけうどん。鰹や昆布を使った出汁で氷見うどんのコシと風味を楽しみます。夏には冷やしうどんも定番。こちらもシンプルに冷たい出汁でいただきます。

太麺は鍋にもおすすめ

氷見うどんの太麺はじっくり煮込んでも煮くずれせず、強いコシと粘り、餅のような食感を堪能できるのが特長。そのため鍋物や煮込みうどんに向いています。またカレーうどんにもぴったりです。この太麺は20分以上かけてゆでるのがポイント。温かく食べるときもゆで上がりを一度ザルで水洗いをし、ぬめりを落としてから再び温め直します。

氷見うどんと氷見の魚を楽しめるお店

氷見といえばうどんだけでなく魚介類も忘れるわけにはいきません。そこでおいしい魚と氷見うどんの両方を楽しめるお店を紹介しましょう。それが氷見魚市場食堂。氷見漁港の魚市場の2階に食堂で、富山県で一番鮮度のよい魚が食べられるお店としておなじみです。早朝からランチタイムまで、多くのお客さんでにぎわうお店の名物は、氷見浜丼のちょっこし盛。炙りサワラやガンドブリ、シイラ、コショウダイなど4種類の海鮮をトッピングした氷見浜丼と、魚のあらがたっぷり入った漁師汁がセットになっています。

そしてお目当ての氷見うどんも絶品と評判。富山の漁港らしいエビの出汁が効いたつゆとつるつるの細麺が相性ばつぐんです。富山名産の白エビやとろろ昆布のトッピングも上品でありながら風味満点ですよ。

魚市場食堂の基本情報

住所

富山県氷見市比美町435 氷見漁港魚市場2階

電話

0766-72-2018

営業時間

平日・祝日 6:30〜15:00

土日 6:30〜15:30

休業日

1月1日から1月3日まで

臨時休業有

アクセス

JR 氷見駅から徒歩約20分

能越自動車道 氷見ICから車で約8分

料金

きしめん

By Kos88 - Own work, CC BY-SA 4.0

きしめんは愛知県の伝統的な平たいうどんです。きしめんという別ジャンルの麺料理だと思われがちですが、これも日本三大うどんのひとつに数えられることがよくあります。

きしめんの特徴

きしめんもうどんも小麦粉に塩と水を加えて練った生地から作られるため、材料や味に違いはありません。きしめんの最大の特徴はなんといっても幅広く平べったい麺。日本農林規格(JAS)の「乾めん類表示品質表示基準」によると、幅が4.5mm以上で厚さが2.0mm未満の帯状の麺は「干しひらめん」「ひらめん」「ひもかわ」または「きしめん」と記載することができるとされています。一方うどんの定義は、長径を1.7mm以上に成形したもの。この定義からもきしめんがうどんの一種であることがわかります。

そして一般的なきしめんは、幅7〜8mm、厚さ1mmほどのものがほとんど。JASの基準よりもかなり幅が広く、薄い麺になっています。食感はなめらかでコシはかなり弱め。そのため小さく切っても食べやすく、赤ちゃんの離乳食として生後8カ月ごろから食べることもできます。

ムロアジの出汁も特徴

出汁の原料はムロアジの鯵節で、濃い目の味付けも特徴です。麺が薄いためつゆが麺に染みやすく、濃い味が好きな愛知県民の好みにもマッチしています。鰺節でとれる出汁は魚臭さはなく、甘みとコクがあるのが特徴。このムロアジの出汁はきしめんのほかに味噌煮込みうどんにも使われています。名古屋で鯵節が広まったのは、良質なムロアジがよく獲れたことと、中部地域でよく使われるたまり醤油や赤味噌と相性がよかったのが理由です。たまり醤油は大豆と麦でつくられる醤油とは異なりほぼ大豆で作られるので、味噌のような香り。これに鯵節を合わせることで、きしめんらしい濃厚なつゆが完成します。

きしめん作りは手間がかかる

きしめんは小麦粉と水、塩をこね、帯状に成形します。昔ながらの手打ちの作り方の場合、うどんよりも薄く伸ばすためより労力が必要だといわれています。またうどんより薄く伸ばすには作業場所の広さが必要になるので、一度に作れる量が少ないのも難点。多くの製麺所では機械も利用して手打ちきしめんの味を再現しています。

きしめんの歴史

江戸時代前期に書かれた『東海道名所記』には、きしめんは三河国芋川の名物とされています。三河国芋川は、現在の愛知県刈谷市のこと。関東ではきしめんのような麺をひもかわうどんと呼びますが、このひもかわは地名の芋川(いもかわ)が訛ったものです。

きしめんが名古屋で広まったのは、薄い麺にはうどんよりもつゆの味が染みやすいから。しっかりした味付けが好きな名古屋人の好みに合ってソウルフードと呼ばれるほどの名物になったといわれています。

きしめんの食べ方は?

きしめんは温かいつゆで食べるのが一般的。具材は小松菜や油揚げ、カマボコ、ネギを載せます。そして欠かせないのが花かつお。温かいつゆの上で踊る鰹節は、きしめんの醍醐味です。つゆはたまり醤油ベースの赤つゆ、または白醤油ベースのあっさりとした白つゆが定番です。

名古屋駅の新幹線ホームにある名店

きしめん 住よしは、JR名古屋駅の新幹線ホームに4店舗、在来線のホームに5店舗があるきしめんの名店です。立ち食いそばスタイルのお店で、電車を待つ間に10分もあれば食べられるのがメリット。しかも名古屋を代表するおいしいきしめん店として有名です。

定番はかき揚げきしめん。シンプルなきしめんの上に、大きなかき揚げと大量の鰹節が乗っています。濃いめのだしとモチモチの麺が特徴。だしを吸ったかき揚げも絶品です。また味噌きしめんも人気。味噌煮込みうどんのようなきしめんは名古屋人好みの味わいでファンが多い逸品です。夏に登場する冷たいきしめんは歯応えがあるツルツルの麺が魅力。冷やしおろしきつねきしめんなど、夏ならではの味もぜひ試してみてください。

きしめん 住よしの基本情報

住所

愛知県名古屋市中村区名駅1-1-4 名古屋駅構内

電話

店舗により異なる

営業時間

店舗により異なる

休業日

店舗により異なる

アクセス

名古屋駅構内

公式サイト

https://jt-s.net/shoplist/

日本三大うどんを食べに行こう!

6つの候補がある日本三大うどん。稲庭うどんは秋田県、水沢うどんは群馬県、氷見うどんは富山県、きしめんは愛知県、讃岐うどんは香川県、五島うどんは長崎県の名物なので、制覇するためには日本の幅広い地域を旅することになります。

それぞれのうどんがある土地は、観光地としても魅力的。ぜひ現地まで日本三大うどんを食べにいき、文化や土地の魅力も感じてください!

cover photo by PIXTA

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