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日本三大清流とは?代表する四万十川・長良川・柿田川の3つの美しい名水の魅力を紹介

日本三大清流といえば、高知県の四万十川、岐阜県の長良川、静岡県の柿田川のこと。この記事では、全国でも有数の美しさを誇る3つの川の特徴を解説し、観光の見どころや人気スポットを紹介します。

ライター
Satoshi Nakamura
日本と世界を旅する釣り大好きアウトドア系ライター。テレビのリサーチ&構成作家として鍛えたスキルを活かして、旅先の歴史やみどころ、おいしいものを徹底調査してから訪れるのがモットー。これまでにアメリカのルート66走破とグランドサークルドライブ旅(2周)、日本の47都道府県ドライブ旅を達成し、現在は47都道府県での釣果達成にも挑戦中!
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日本三大清流といえば、高知県の四万十川、岐阜県の長良川、静岡県の柿田川のこと。この記事では、全国でも有数の美しさを誇る3つの川の特徴を解説し、観光の見どころや人気スポットを紹介します。

Contents

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日本三大清流とは

photo by PIXTA

日本三大〇〇や日本三名〇〇のなかには、諸説があってラインナップが確定していないものがたくさんあります。

たとえば日本三名瀑は華厳(けごん)の滝と那智(なち)の滝が確定で、もうひとつは袋田(ふくろだ)の滝や秋保大滝(あきうおおたき)、称名滝(しょうみょうだき)など説はバラバラ。日本三大神社の場合は伊勢神宮が確定で、残りの2つは出雲大神宮(出雲大社)と石上神宮(いそのかみじんぐう)、または鹿島神宮と香取神宮だという2つの説が有力です。

では日本三大清流はどうかというと、こちらには異論はなく、一般的に次の3つで確定しています。

  • 高知県・四万十川(しまんとがわ)
  • 岐阜県・長良川(ながらがわ)
  • 静岡県・柿田川(かきたがわ)

日本三大清流の根拠は?

三大〇〇の多くは古い文献に載っているか権威ある協会が選定するなどの理由で選ばれたものですが、日本三大清流には、文献や協会のお墨つきなどのはっきりした根拠はありません。

日本三大清流は、昭和の終わり頃から使われだした言葉。しかし誰がいつ頃から言いだしたのかははっきりせず、いつの間にか定着していました。一方で四万十川と長良川と柿田川が日本三大清流であることに異論を唱える人がいないことから、そのすばらしさが全国的に認められていることがよくわかります。

清流のイメージ=水のきれいさ

実は清流という言葉にはそもそも明確な定義はありません。ただしイメージとしては以下のような川が清流とされます。

  • 水がきれい
  • 大きなダムがない
  • 自然の状態が残っている

とくに水がきれいなことは重要。国土交通省が毎年発表する一級河川の水質調査結果で、水質が最も良好な河川に選ばれると、清流日本一といわれることもよくあります。

日本三大清流は水質がいい?

では日本三大清流は水がとくにきれいなのでしょうか?もちろん四万十川と長良川と柿田川は汚染されていないきれいな水が自慢。しかし水のきれいさだけならたとえば以下の川も負けてはいません。

  • 北海道・後志利別川(しりべしとしべつがわ)
  • 北海道・札内川(さつないがわ)
  • 福島県・荒川(あらかわ)
  • 三重県・宮川(みやがわ)
  • 和歌山県・熊野川  
  • 徳島県・吉野川
  • 愛媛県・肱川(ひじかわ)
  • 熊本県・川辺川(かわべがわ)
  • 宮崎県・五ヶ瀬川(ごかせがわ)

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日本三大清流の魅力を徹底解説

日本には水質だけならさらに上の川もあります。それでも四万十川・長良川・柿田川が日本三大清流といわれるのは、豊かな自然や生物環境、人との関わりなどの特色があるから。

ではいったい何が特別なのでしょうか? 日本三大清流の特徴と魅力、みどころを紹介しましょう。

高知県・四万十川(しまんとがわ)

日本最後の清流と呼ばれる四国の大河

By 京浜にけ at ja.wikipedia, CC BY-SA 3.0

四万十川は高知県を流れる川。日本最後の清流として全国的に知られています。これは水がきれいというだけではなく、豊かな自然と里山らしい風景が残っているという意味。それが四万十川の大きな魅力になっています。

四万十川の特徴

四万十川は高知県にある標高1,336mの不入山(いらずやま)を水源とする川。全長が196キロもある四国最長の大河です。

四万十川の大きな特徴は、勾配が平均0.61%とゆるやかなこと。とくに河口までの後半106キロは0.12%と傾きがとても小さく、おだやかな流れになっています。流れがゆるやかな川は生活排水や濁りに弱いのが一般的。四万十川も本来は汚れやすい川ですが、慎重に守られることで、その美しさが保たれているのです。

四万十川の魅力

四万十川の魅力は自然そのままの姿が残っていることだけではありません。むしろ人々との豊かな関係が見えるところが四万十川らしいポイントです。

美しい自然

四万十川の上流部は深い山。その中をゆったりと流れた川は下流域でも青く清らかな流れを保ち、緑ゆたかな川岸との調和を見せてくれます。その美しさをさらに引き立てるのが白い砂州。その美しい景観が第一の魅力です。

川に根づいた生活と文化

四万十川流域には川と深いかかわりを持った里山がいくつもあり、昔懐かしい日本の原風景を見ることができます。

とくに漁は盛んで、鮎の火振り漁や、うなぎの柴浸け(しばづけ)漁、スジアオノリ漁など数々の伝統漁法が残っているのも特徴です。日本の河川では珍しい専業の川漁師も多く、天然の魚の種類や藻類収穫量、河川1キロあたりの鮎の漁獲量では全国1位になっています。

四万十川のみどころ①沈下橋(ちんかばし)

By 四万十人 - Own work, CC BY-SA 3.0

美しい自然の中に里山の生活が溶け込んでいるのが四万十川の魅力。観光でそんな四万十川らしさを感じることができるスポットが、沈下橋(ちんかばし)です。

沈下橋は増水時に水面下に沈む欄干のない橋。欄干がないので壊れにくく、集落をつなぐ生活道路として、流域になくてはならないものになっています。

四万十川流域の沈下橋は、本流に21本、支流に26本。ドライブ旅行なら1日で本流の沈下橋をすべて見ることも可能ですが、橋を徒歩で渡り景色も楽しみながら満喫するためには2、3日はかけた方がいいといわれています。

早瀬橋は沈下橋の原型

四万十川の沈下橋の原形となったのは、流れ橋という形式の橋。沈下橋は欄干がなく増水時は水面の下に沈むことで破損を防止しますが、流れ橋は木を束ねただけの上部が流れていくようにできています。木の片方がワイヤーで繋がっているため、水量が減ったら引っ張り寄せて石積みの橋脚に再び乗せることができるのです。  

早瀬橋は、四万十川の源流に近い津野町に架かっている流れ橋。なんとものどかな橋はまさに日本の原風景といった雰囲気です。

佐田沈下橋はもっとも人気の橋

佐田沈下橋は、四万十川の沈下橋のなかでもっとも下流にあり、一番有名な橋。四万十市街から車で10分以内というアクセスのよさも魅力です。

昭和47年に架けられた沈下橋で、291.6メートルの全長は四万十川で最長。四万十川の雄大な景色を楽しめます。また幅が4.2メートルもあるため、車で渡るのもらくらく。ただし混雑する時期には迷惑になるので、車は近くの駐車場に停めて歩くようにしてくださいね。

一斗俵沈下橋はもっとも古い沈下橋

一斗俵沈下橋(いっとひょうちんかばし)は昭和10年に架けられた、四万十川でもっとも古い沈下橋。国の登録文化財に指定された橋は今では通行止めになり、夏場は子どもたちの川遊びのステージになっています。

新谷橋はJRのポスターで有名になった橋

新谷橋は地元では茅吹手(かやぶくて)沈下橋とも呼ばれている橋。平成9年のJRフルムーンのポスターにも採用されたことで、四万十川の沈下橋のイメージを代表する橋になりました。

岩間沈下橋は四万十川随一のフォトスポット

岩間沈下橋は観光ポスターやパンフレット、テレビCMなどによく登場する有名な橋。ゆるやかな流れの川面に青い空と緑の山々が映し出されるとまさに絶景で、多くのカメラマンが訪れます。

四万十川のみどころ②アウトドアレジャー

photo by PIXTA

四万十川は緑ゆたかな山とゆるやかな流れが魅力。そんな自然を生かしたアウトドアレジャーも人気を集めています。

ラフティングやカヤックは初心者にもおすすめ

ラフティングはラフトと呼ばれるゴム製の小型ボートに乗って川下りを楽しむアクティビティ。多くのラフティングは激流コースを攻略し、水しぶきを浴びますが、四万十川は流れがゆるやかなので初心者にもおすすめです。またカヤックも人気。美しい景観を眺め、沈下橋の下を潜りながらゆったりと川下りを楽しめますよ。

SUPは周囲の自然を楽しめるのが魅力

SUPは安定感のあるボードの上に立ち、パドルで漕ぎながら進むアクティビティ。急流には向きませんが四万十川なら安心して楽しめます。ラフティングやカヌーと比べて目線が高いのがSUPの魅力。周囲の景色をより楽しむことができます。運がよければ河岸にいる鹿などの動物を見つけられるかもしれません。

ジップラインも大人気

道の駅 四万十とおわに2020年にオープンしたアクティビティが四万十川ジップライン 。四万十川を横断する約200メートルの空中散歩が楽しめます。高さは水面から約20メートルもあってスリル満点。スタート地点の対岸までは船頭さんの手漕ぎ船で移動するので、遊覧船気分も楽しめますよ。

岐阜県・長良川(ながらがわ)

都市部を流れる豊かな清流

By Alpsdake - Own work, CC BY-SA 4.0

長良川は岐阜県から流れ出し、伊勢湾に注ぎ込む木曽三川のひとつ。流域には86万人もの人々がくらし、都市部を流れていくのに清流を保っているのが大きな魅力です。

長良川の特徴

長良川は岐阜県郡上市の大日ヶ岳を水源とする川。下流では濃尾平野を流れ、三重県を経て揖斐川と合流し、伊勢湾に注ぎます。全長は166キロ。木曽川、揖斐川とともに木曽三川のひとつに数えられています。

岐阜市内の長良橋の上流約1キロの範囲は全国の河川の水浴場の中で唯一、日本の水浴場55選と日本の水浴場88に選定されているのも特徴。透明度の高い川での水遊びは海とはまた違った楽しさがあるのでおすすめです。

長良川の魅力

長良川は本流にダムが存在しない河川として有名。それによってどのような特色が生まれているのでしょうか。

生物が豊かな川

ダムがあるとその部分は流れが停滞し、河床に砂が堆積します。自然のままの川底には石や草があり、その間には豊富な生物やバクテリアが生息しますが、砂が堆積するとそれらは減少。その結果、分解が進まなくなり水質悪化につながります。

長良川にはダムがないため生物やバクテリアが豊富。ミネラルなどの栄養が下流までしっかり流れることで、豊かな水質と多くの生物を保つことができるのです。

特産の鮎

長良川の名産の1つが、清らかな水で育まれた鮎。上流の郡上市で獲れる郡上鮎は、見た目の美しさと味、香りを備えた日本屈指のブランド鮎として有名です。塩焼きや寿司などの鮎の料理は長良川を代表する美味。この豊かな川の大きな魅力となっています。

長良川の見どころ①鵜飼

photo by PIXTA

長良川の観光のみどころといえば、伝統の長良川鵜飼です。鵜を操って鮎などの魚を獲る漁法で、その歴史は1,300年以上。織田信長も長良川鵜飼を愛し、守ってきました。

鵜飼が行われるのは夜。暗闇の中でかがり火を燃やして鮎を追い立て、鵜を操って鮎を飲み込ませます。長良川の鮎は平成27年に世界農業遺産に認定。生きた芸術とも呼ばれています。

ぎふ長良川鵜飼は毎年5月11日から10月15日に毎晩開催。川岸からだけではなく有料の観覧船から眺めることもできますよ。

長良川のみどころ②長良川堤の桜

長良川は、桜の名所としても有名。とくに岐阜公園・長良川堤一帯では、およそ1キロにわたって約400本の桜が咲き誇ります。その種類はソメイヨシノや山桜、エドヒガンなど。桜のシーズンには大勢の花見客で賑わいます。

また岐阜護国神社の境内にある鵜飼桜も注目です。これは樹齢百年といわれるエドヒガン。樹高約8メートルの早咲きの桜で、むかし桜の花の数を長良川鵜飼の鮎の漁獲量の目安にしたことから鵜飼桜と呼ばれるようになりました。

長良川のみどころ③金華山(きんかざん)からの眺め

By Alpsdake - Own work, CC BY-SA 4.0

金華山(きんかざん)は岐阜市の中心部にそびえる標高329メートルの山。山頂には斎藤道三や織田信長ゆかりの岐阜城があり、長良川を見下ろすことができます。

ロープウェーがあって気軽に山頂まで行けるのも魅力。また登山道も整備されています。登山にチャレンジするなら、めい想の小径(水手道)がおすすめ。岐阜公園から金華山の北側を回って頂上をめざすコースで、眼下に長良川を眺めながら登ることができます。ただし頂上付近には岩場や急勾配もあるので、登山に自信がない人は他のコースを選んでくださいね。

静岡県・柿田川(かきたがわ)

東洋一の湧き水による短い清流

photo by PIXTA

柿田川は静岡県の清水町を流れる狩野川水系の川。日本でもっとも短い一級河川です。また柿田川は大量の湧水だけが水源になっている全国的にも珍しい川。湧水の美しさは格別です。

柿田川の特徴

一般的な川の源流は山間部にありますが、柿田川の源流は清水町伏見にある柿田川公園。湧き間と呼ばれる湧水群からこんこんと湧き出し、そのまま川となって約1.2キロ先で狩野川に合流します。柿田川はほぼこの湧水群の水だけで成り立っているのが特徴です。

柿田川の魅力

非常に短い柿田川の魅力は、なんといっても水の美しさと豊富な水量。川幅は30メートルから50メートルもあり、実際に目にするとそのほとんどすべてが湧水であることに驚くはずです。この湧き水は雨水や雪解け水が富士山の三島溶岩流に浸透し、長い時間をかけて湧き出たもの。透明度が高いだけでなく水温は季節を問わず15度前後に保たれていて、水量もほぼ一定です。

地元の人たちが守っている川

柿田川は以前、工場の進出などで魚も住めないほど汚されたことがありました。しかし地元の人々を中心とした保護活動で見事に復活。ナショナルトラスト運動で土地を買い上げることで、今も川の環境を大切に守っています。

柿田川のみどころ①柿田川湧水群

By Taken with Canon PowerShot G9 X - Own work, CC BY-SA 3.0

柿田川の観光のみどころは、なんといっても柿田川湧水群。その湧水は1日に約110万トンで、東洋一の水量だといわれています。この水は名水百選と国の天然記念物にも指定。また静岡を代表するパワースポットとしても人気です。

柿田川のみどころ②展望台

photo by PIXTA

柿田川湧水群の周囲は柿田川公園として整備され、湧き間を眺める展望台も作られています。なかでもおすすめは第二展望台。柿田川ブルーホールと呼ばれる神秘的な青い色の湧き間を見ることができます。

また柿田川の最上流部にある第一展望台も人気。ここからは大小数十ヶ所の湧き間を見ることができます。晩秋にはアユの遡上が見られることもありますよ。

柿田川のみどころ③湧き水広場

わき間から流れ出した水の一部は、柿田川公園内の湧き水広場に流れ込みます。ここは子どもに人気のスポット。富士の湧き水でぜいたくに遊ぶことができます。水深がとても浅いので、小さな子どもでも安心ですよ。

柿田川のみどころ④八つ橋

八つ橋は柿田川公園の散策路。この八つ橋からは柿田川中流の優雅な流れを見ることができます。注目は水中植物のミシマバイカモ。自然環境で現存するのは柿田川だけという希少種で、5月から9月には水中で白い花弁の花を咲かせます。清流の中でゆらゆらと揺れるバイカモをじっくり観察してみてください。

日本三大清流に行こう!

日本三大清流はそれぞれに特色がある清流。四万十川は緑ゆたかな山をゆるやかに流れる大河で、長良川は大都市を流れながらも美しさを保つ川、柿田川は富士山の豊富な湧き水を水源とする日本一短い一級河川です。

まったく異なる特徴やみどころがあるので、日本三大清流をすべて見にいってみるのもおすすめですよ!

cover photo by PIXTA

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