イギリス料理のおすすめ15選！有名な伝統料理や人気の飲み物を紹介

イギリス料理の特徴、まずいって本当？

イギリス料理と聞くと、まずい・味気ないというイメージが浮かぶかもしれません。このイメージが定着した経緯には、イギリスの土壌と歴史が大きく関係しています。

まず、イギリスの土壌は腐植層が少なく、もともと作物が育ちにくい環境です。16世紀以降、質素な食事を美徳としたジェントルマンと呼ばれる人々が400年近くも支配階級を形成し、18世紀後半の産業革命期に食事の簡素化が進んだことも、食文化の発展が遅れる要因となりました。

しかし近年では、イギリスが多文化社会となった影響や、セレブリティシェフたちによる食育の啓蒙活動も功を奏し、イギリス国民の食に対する関心が高まっています。往来のネガティブなイメージを持ったままイギリスを訪れると、その活気あるフードシーン＆質の高さに驚くかもしれません。

イギリスのアフタヌーンティーやパブ料理もおすすめ

イギリスを訪れるなら、本場のアフタヌーンティーやパブ料理を試すのもおすすめです。

伝統的なアフタヌーンティーは、専用スタンドにフィンガーサンドイッチ、スコーンとクロテッドクリーム＆ジャム、各種焼き菓子が紅茶とセットで提供されます。

アフタヌーンティーは有名ホテルに限らず、街中のカフェでも予約が必要な場合が多いため、事前に店舗情報を確認しておくことをおすすめします。

また、イギリスの定番料理を味わいたいなら、パブがおすすめ！ビールなどアルコール飲料を楽しむ印象が強いパブですが、実はランチ＆ディナー共に食事メニューが充実しています。

ただ、パブ自体は深夜まで営業していても、キッチンは21時頃にクローズ、その後はドリンクのみという場合がほとんどなので、訪れる時間帯には注意しましょう。

イギリスのおすすめ定番料理3選

それではまず、イギリス料理の定番料理を3つご紹介していきます。どれもコンフォート・フードと呼ばれる、ボリュームたっぷりのメニューです。

イングリッシュブレックファスト

休日のブランチによく登場する、ボリューム満点の伝統的朝食

イングリッシュブレックファストは、その名の通りイギリスの朝食！卵料理や赤身のベーコン、ソーセージ、焼きトマト、バタートーストなどが定番でボリューム満点。お店や地域によって材料や調理方法に微妙なちがいがあります。

イングリッシュブレックファストの始まりは13世紀。当時は上流階級の食べ物でしたが、やがて家族向けのメニューとして中流・労働者階級へ広まりました。1950年代には1日の腹ごしらえとして、大半のイギリス人が朝食に食べていたといいます。

カフェやレストランでは「All-day Breakfast」として1日中注文可能な場合が多いので、機会があればぜひお試しください！

ジャケットポテト

日本でいうおにぎりのような存在！イギリス人のソウルフード

1840年代に誕生したジャケットポテトは、オーブンで丸ごとローストした皮付きのジャガイモに、バター＆好みのトッピングをのせていただく、とてもシンプルな料理。いわゆるベイクドポテトですが、イギリスでは皮の部分をジャケットと呼ぶため、この名前が付けられました。

最もベーシックなトッピングは、ベイクドビーンズ＆チーズの組み合わせ。そのほか、ツナマヨ、コロネーションチキン、チリビーンズ、海老のカクテルなどが人気です。お店によってトッピングは異なるので、ぜひいろんな味を比較してみてくださいね。

サンデーロースト

日曜日の昼食の定番メニュー！イギリスの食文化を代表するロースト料理

イギリス伝統料理・サンデーローストは、パブやレストランで必ずといっていいほどメニューに含まれている、日曜日の定番昼食メニュー。

メインの肉料理はローストビーフ、チキン、ポーク、ラム、ターキーなどさまざま。付け合わせにローストポテト、茹で野菜または蒸し野菜、ヨークシャー・プディング（シュー生地のようなパン）が添えられ、最後にソースをたっぷりかければ完成！

サンデーローストを日曜に食べる起源は、産業革命期の1700年代だといわれています。日曜日に教会の礼拝へ出かける前に、肉やジャガイモをオーブンへ入れておくと、帰宅する頃には昼食ができあがっていました。これがやがて日曜日に家族でロースト料理の昼食を楽しむ習慣＝サンデーローストとして、食文化に浸透していったそうですよ。

イギリスのおすすめ肉料理3選

大の肉好きで有名なイギリスでは、肉料理のバリエーションが豊富。中世時代にはすでに肉のロースト＆グリル技術が発達しており、フランスからシェフたちが修行に訪れるほどでした。ここでは特におすすめの肉料理を3品ご紹介します。

バンガーズアンドマッシュ

パブ料理の定番メニュー！グリルソーセージ＆マッシュポテト

マッシュポテトにグリルしたソーセージをのせ、たっぷりグレービーソース（※オニオングレービーが一般的）をかけたバンガーズアンドマッシュは、パブ料理の定番メニュー。比較的安価な材料ででき、食べ応えがあるので、庶民的な食事の代表格と捉えられています。

伝統的なバンガーズアンドマッシュには、2011年にEUの品質制度PGI（地理的表示保護制度）の認証を受けた、イギリス北西部・カンブリア州産の生ソーセージが使用されます。

ソーセージをバンガーズと呼ぶ理由については、ソーセージを焼いた時の音が、爆竹（bangers）に似ていたため、この呼び名が付いたといわれています。

ガモンステーキ

パブやレストランの定番人気メニュー

ガモンステーキは、パブやレストランで人気の定番メニューです。

ガモンとは、豚の後ろ足をベーコンと同様の方法で薫製したもののこと。食べる前に加熱処理が必要で、調理後はハムまたはガモンハムと呼ばれます。

通常はガモンステーキに、目玉焼き、パイナップルの輪切り、フライドポテトが添えられます。パイナップルの甘味と酸味がガモンステーキの脂をうまく中和し、意外とさっぱりいただけますよ。

ハギス

羊の胃袋に内臓を詰めて調理した、スコットランドの国民食

スコットランドの国民食・ハギスは、精肉店で惣菜としても売られている、人気の羊肉料理です。

羊の内臓をミンチにして、オーツ麦、玉ネギ、ハーブ、スエット（羊または牛の脂肪）と一緒に羊の胃袋に詰めた、腸詰め料理になります。4～5時間ゆっくりと茹でた後、中身をお皿に取り出し、マッシュポテト＆マッシュドターニップ（黄カブ）を添えて熱々をいただきます。

スコットランド人の間では、仕上げにシングルモルトのスコッチウィスキーを少量かけていただくのが通の食べ方なんだとか。

最初は抵抗があるかもしれませんが、香ばしい匂いと味、オーツ麦のプチプチした食感が意外とクセになります。スコットランドを訪れるなら、ぜひ一度味わってみてくださいね！

イギリスのおすすめ魚料理3選

肉料理の印象が強いイギリスですが、コーンウォールなどイギリスの沿岸海では150種以上もの魚介類が採れ、漁場環境に恵まれています。ここでは不動の人気を誇るフィッシュアンドチップスを筆頭に、おすすめの魚料理を3品ご紹介します。

フィッシュアンドチップス

イギリス料理で最も有名な人気メニュー！イギリスらしさの象徴的存在

フィッシュアンドチップスは、イギリス料理と聞けば誰もが思い浮かべるほど、有名な人気メニュー。

メインのフライは、タラなどの白身魚に小麦粉＋ビール（※水や炭酸水の場合も）を混ぜた衣を付け、キツネ色になるまでカラッと揚げます。太めに切ったチップスやフライドポテトも色よく揚げたら、各種ソースを添えて完成です。フライ＆チップスは大体似通ったレシピですが、地域によって付け合わせが微妙に変化します。

フィッシュアンドチップスの歴史は長く、14～15世紀頃にはその原型があったとされます。ロンドンにイギリス初のフィッシュアンドチップス店がオープンしたのは、1863年。現在もイギリス国民の約4分の1が週に一度は食べているという、イギリス料理になくてはならない存在のフィッシュアンドチップス。ぜひ本場の味を堪能してみてくださいね。

フィッシュケーキ

調理した魚の身とマッシュポテトで作る、コロッケのような伝統料理

イギリスのフィッシュケーキは、日本人の味覚にも合う、魚のコロッケのような伝統料理。19世紀半ばの書物に最初の記述が見られ、中でも『ビートン夫人の家政書』記載のレシピが有名です。

フィッシュケーキの種は、マッシュポテトで調理した魚の身をほぐして混ぜ合わせ、刻んだハーブと塩・こしょうで味付けします。基本的にはタラなどの白身魚を使いますが、最近はサーモンやマグロを使ったフィッシュケーキも人気です。

種を円形に整え、パン粉をまぶして揚げるとコロッケ、薄く小麦粉をはたいてフライパンで両面を焼き付けると、日本のおやきのような仕上がりに。残り物のマッシュポテトや魚も活用できるので、家庭でも気軽に作れます。

レストランやパブの定番メニューにあることが多いので、見つけたらぜひ試してみてください！少し懐かしい味がして、ほっと一息付けるかもしれません。

フィッシュパイ

パブランチの定番メニュー！スコットランド生まれのイギリス伝統料理

フィッシャーマンズ・パイとも呼ばれるフィッシュパイは、スコットランド発祥の人気メニュー。タラなどの白身魚とハーブ各種を加えたホワイトソースに、海老やゆで卵といった定番の具を加え、マッシュポテトやチーズのトッピングをかぶせて焼く、オーブン料理です。

パブ料理の定番でもあるフィッシュパイは、寒い季節にいただくのがおすすめ！いただくうちに、体の芯からじんわり温まるのを実感します。出来たてのパイはかなり熱いので、火傷しないように気をつけましょう！

イギリス料理でおすすめのパン3選

おいしいパン屋に巡り会う確率がかなり高いイギリス。近年では、熟練した職人が手がける「アルチザン・ベーカリー／Artisan Bakery」が人気を集めています。ここでは、特におすすめ＆人気の高いパン類を3種ご紹介します。

スコーン

スコットランド発祥・アフタヌーンティーには欠かせない定番のお菓子

イギリスを代表するお菓子、スコーン。まず半分に割ってから、それぞれクロテッドクリーム＆ジャムをたっぷりのせて、紅茶と共にいただきます。

スコーンの元祖は、16世紀のスコットランドで作られていたクイックブレッドのバンノック。スコットランド・パースのスコーン城にある、歴代の戴冠式に使用された椅子の礎石「The Stone of Scone / The Stone of Destiny」が名前の由来といわれています。

スコーン城は一般公開されているほか、一部は5つ星ホテルになっており、宿泊も可能です。スコットランド旅行の合間に、少し足を延ばして、スコーンのゆかりの地を訪ねるのはいかがでしょうか?

イングリッシュ・マフィン

実はアメリカ生まれ！イギリスでは1990年代から出回り始めた逆輸入的メニュー

イングリッシュ・マフィンは、そのネーミングからイギリス発祥と思われがちですが、実はアメリカ生まれのパン。

イングランド・プレイマス出身のサミュエル・バース・トーマスが、1874年にニューヨークへ移住し、イギリスのクランペットを基に数年かけて作り上げました。

イギリスで親しまれるようになったのは、1990年代以降。イギリスのスーパーではトースティング・マフィン、ブレックファスト・マフィンといった名称で売られています。

グリドルと呼ばれる鉄板で両面を焼き、2つに割って、それぞれ軽くトーストしてからバターやジャムなどを塗るか、エッグベネディクトのような料理にアレンジしていただきます。

イギリスのスーパーでイングリッシュ・マフィンを見かけたら、クランペットと一緒に購入し、食感の違いを味わってみるのもおすすめです！

ヨークシャー・プディング

肉料理の付け合わせの定番！18世紀から伝わるイギリス料理のアイコン的存在

サンデーローストをはじめ肉料理の付け合わせに欠かせない、ヨークシャー・プディング。プディングといっても甘いデザートではなく、オーブンで調理する蒸し料理を意味します。

材料は小麦粉、卵、牛乳、塩のみ。中身の大部分に空洞ができることで、シュー生地に似た独特の食感が生まれます。

ヨークシャー・プディングの原型はドリッピング・プディングと呼ばれるもの。1747年、ヨークシャー出版のレシピ本に登場した改良レシピが人気を集めたことで、地名を冠したヨークシャー・プディングの名前が定着しました。

ヨークシャー・プディングはレストランやパブでいただくほか、完成したものがイギリスのスーパーで売られているので、気軽に試すことができますよ。

イギリス料理でおすすめの飲み物3選

最後にご紹介するのは、イギリスでおすすめの飲み物3選！紅茶はもちろんのこと、独特の清涼感がたまらないピムスや、口当たりの良いサイダーの魅力をお伝えします。

紅茶

イギリスの水質と食生活に合致した、国を代表する飲み物

イギリスの飲み物といえば、やはり紅茶！ブラックティーと呼ばれ、ミルクを少量加えて飲むのが一般的です。

イギリスが紅茶の国になった理由には、水質と食生活が大きく関係しています。イギリスの硬水では、完全発酵した紅茶は抽出されすぎず、苦味も出ません。そこへミルクを加えると、まろやかでコクのある味に仕上がります。

また、抗酸化作用＆脂肪分解作用がある紅茶は、乳製品・畜産品の食材を多く含むイギリスの食生活にもぴったりでした。

特におすすめの紅茶は、スーパーでも購入可能なヨークシャー・ティー（Yorksire Tea）。スタンダードのほか、最近ではビスケットブリューなど珍しいフレーバーも人気です。

ピムズ

甘さ・ほろ苦さのコントラストがたまらない、イギリスの夏の代名詞

ピムズとは、1840年にロンドンでジェームス・ピムが開発した、ボタニカルフレーバーのリキュール「Pimm’s No.1 」のこと。

おもに炭酸レモネードで割った原液に、イチゴなどのフルーツ、ミントやローズマリーといったハーブ、輪切りのキュウリを加えていただく、甘くほろ苦い飲み物です。

古くから英国王室の行事に用いられ、王室御用達（Royal warrant）認証を受賞しています。1972年からはウィンブルドンのテニストーナメントでも振る舞われるようになりました。

家庭でも気軽に作れますが、夏の夕暮れ時にパブのテラス席でいただくのが最高においしいので、機会があればぜひお試しください！

サイダー

リンゴ果汁を発酵させて作る、フルーティーな口当たりが人気のお酒

イギリスのサイダーは、100％（またはほぼ100％）ストレートのリンゴ果汁を発酵させて作る、アルコール度数4～10％のお酒。フルーティーで飲みやすく、苦いお酒が苦手という人にもおすすめです。

イギリスは世界で最もサイダーを飲む国で、全生産量の半分以上が消費されているといいます。食事との相性も良いサイダーは、パブやレストランのメニューで必ずといっていいほど見かけます。

大手メーカーのサイダーに加え、最近では小規模生産されたクラフトサイダーも評判です。リンゴだけでなく、洋梨やベリー類、パッションフルーツなど、さまざまな種類のサイダーが出回っているので、飲み比べてみるのも楽しいかもしれません。

おいしいイギリス料理を満喫しよう！

イギリス料理で試してみたいメニューは見つかりましたか？ご紹介したもの以外にも、イギリスには素材の持ち味を生かしたメニューが充実しています。

シンプルな料理が多いため、お店で試して気に入ったメニューは、家庭でもレシピを参考にしながら比較的簡単に再現できます。どうぞこの記事を参考に、お気に入りのイギリス料理を見つけてくださいね。

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