空港がない都道府県はどこ?空港数が多い地域とない地域の特徴を解説
旅行や出張が多い人なら利用する機会が多い空港。一方でお住まいの県内に空港がなくて不便だと感じる人も多いのではないでしょうか。この記事では、空港がない都道府県はいくつあるのか調査。空港を持たない県に共通する特徴や今後の空港建設計画、また逆に空港がたくさんある都道府県の特徴についても紹介します。
旅行や出張が多い人なら利用する機会が多い空港。一方でお住まいの県内に空港がなくて不便だと感じる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、空港がない都道府県はいくつあるのか調査。空港を持たない県に共通する特徴や今後の空港建設計画、また逆に空港がたくさんある都道府県の特徴についても紹介します。
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空港がない都道府県はいくつある?
日本には成田空港や羽田空港などの民間空港と、入間飛行場や横田飛行場などのような自衛隊や在日米軍の飛行場があります。この記事では、私たちが利用できる民間の空港に限定して紹介。
ではさっそく、空港がない都道府県を一覧で紹介しましょう。
空港がない都道府県
こちらが空港がない都道府県です。
- 栃木県
- 群馬県
- 埼玉県
- 神奈川県
- 山梨県
- 岐阜県
- 三重県
- 滋賀県
- 京都府
- 奈良県
新幹線の駅がない、または電車の駅が少ないという場合、人口が少ない県がよく該当します。しかし空港がない都道府県の中には、人口が900万人以上で全国2位の神奈川県をはじめ、5位の埼玉県、13位の京都府も入っているのです。空港がない都道府県にはいったいどのような共通点があるのでしょうか?
大型空港の周辺には空港がない
実は空港がない府と県にはわかりやすい共通点があります。それは近隣の都道府県に大型の空港があることです。
空港を持たない府と県の近くには、以下のような空港があります。
- 栃木県→成田空港・羽田空港
- 群馬県→成田空港・羽田空港
- 埼玉県→成田空港・羽田空港
- 神奈川県→成田空港・羽田空港
- 山梨県→成田空港・羽田空港
- 岐阜県→中部国際空港(セントレア)
- 三重県→中部国際空港(セントレア)
- 滋賀県→大阪国際空港(伊丹空港)
- 京都府→大阪国際空港(伊丹空港)
- 奈良県→大阪国際空港(伊丹空港)
これらの空港は、いずれも拠点空港と呼ばれる重要な空港のなかでもとくに規模の大きなもの。日本の各地に行くことができるハブ空港にもなっています。
空港がある都道府県の特徴
空港がない府と県のリストを見ると、東北地方より北と日本海沿岸の県、中国地方より西の県がひとつもないことに気づきます。空港がある都道府県の共通点は、日本の拠点空港のうちとくに規模が大きくなる会社管理空港が近県にないことです。
現在の会社管理空港は、成田空港、セントレア、伊丹空港の3カ所。これに歴史があり規模も大きい国管理空港の羽田空港を加えた4カ所が日本の中心的な空港になっています。空港がない府県はこの4つの空港まで陸路などで比較的簡単に行ける範囲だけ。
逆にこの4カ所までの距離が遠い都道府県は、移動の便のために空港を設置するしかないのです。
空港はあるけど定期便がない県
空港がない府県は10ですが、実はもう一つ、実質的に空港がないのと同じ県があります。それは福井県。福井県には福井空港がありますが、1976年から48年間も定期便が飛んでいません。その理由は滑走路が短く、ジェット旅客機の離着陸が不可能だから。
つまり実際には福井県も含めた11の府県が、空港を持たない県ということになります。
空港まで最も遠い県はどこ?
都道府県内に空港があれば、比較的短時間で空港に到着することができます。では空港がない10の府県+福井県のうち、近隣の空港までもっとも遠いのはどこなのでしょうか?
そこで県庁所在地から空港までの移動に必要な時間を調べてみました。最寄りの空港までの所要時間が短い順に紹介しましょう。
神奈川県
東京国際空港(羽田空港)まで約21分
横浜駅~京急本線〜蒲田駅〜京急空港線〜羽田空港第1・第2ターミナル駅
京都府
大阪国際空港(伊丹空港)まで約56分
京都駅~JR東海道新幹線〜新大阪駅〜阪急観光バス〜大阪国際空港
福井県
小松空港(石川県)まで約1時間
福井駅〜京福バス小松空港線〜小松空港
埼玉県
東京国際空港(羽田空港)まで約1時間1分
浦和駅~JR上野東京ライン〜東京駅〜JR山手線〜浜松町駅〜東京モノレール空港快速〜羽田空港第1・第2ターミナル駅
岐阜県
中部国際空港(セントレア)まで約1時間1分
名鉄岐阜駅~名鉄名古屋本線〜神宮前〜名鉄常滑・空港線〜中部国際空港駅
滋賀県
大阪国際空港(伊丹空港)まで約1時間15分
大津駅~JR東海道山陽本線〜京都駅〜JR東海道新幹線〜新大阪駅〜阪急観光バス〜大阪国際空港
三重県
中部国際空港(セントレア)まで約1時間29分
津駅~バス津なぎさまち線〜津なぎさまち旅客船ターミナル〜フェリー〜中部国際空港高速船ターミナル
奈良県
大阪国際空港(伊丹空港)まで約1時間32分
奈良駅~大和路快速〜天王寺→あべの橋〜阪急観光バス〜大阪国際空港
栃木県
東京国際空港(羽田空港)まで約1時間36分
宇都宮駅~JR東北新幹線〜東京駅〜JR山手線〜浜松町駅〜東京モノレール空港快速〜羽田空港第1・第2ターミナル駅
群馬県
東京国際空港(羽田空港)まで約2時間1分
前橋駅~JR両毛線〜高崎駅〜JR北陸新幹線〜東京駅〜JR山手線〜浜松町駅〜東京モノレール空港快速〜羽田空港第1・第2ターミナル駅
山梨県
東京国際空港(羽田空港)まで約2時間27分
甲府駅~JR中央本線〜新宿駅→バスタ新宿〜東京空港交通バス〜 羽田空港
山梨県から空港は遠い!
上記で紹介した所要時間は、あくまでも最短の場合。乗り換えをシンプルにしたり、徒歩での移動をなくしたりと分かりやすくすると、さらに時間がかかりがちです。
とくに群馬県や山梨県から羽田空港はかなり遠く、しかも県庁所在地以外の場所からの移動はさらに時間がかかることになります。
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空港がない府県の現状
現在空港がない府県に、今後空港を作る計画はあるのでしょうか?また拡張できそうな飛行場はないのでしょうか?それぞれの地域の現状を見てみましょう。
栃木県
以前、首都圏には成田空港、羽田空港に次ぐ第3の空港構想があり、国交省が宇都宮市の近くに栃木国際ハブ空港を検討していたことがありました。しかしこの計画は羽田空港が拡張して能力を増強したことで立ち消えになっています。また1960年代には東武鉄道が日光市に東武今市飛行場を計画。こちらは小規模な飛行場でしたが、やはり建設されることはありませんでした。
今後、空港になるかもしれない施設で最も有望なのは、宇都宮市の陸上自衛隊北宇都宮駐屯地内の宇都宮飛行場。ただしこの飛行場の滑走路は1,700メートルで、もし民間に解放されても、ジェット旅客機が離発着できる2,000メートル以上への延長は難しいかもしれません。
群馬県に計画はなし
羽田空港まで2時間かかる群馬県ですが、今後も具体的な空港建設の計画はありません。
空港に近い施設では榛東村の陸上自衛隊の相馬原飛行場がありますが、滑走路はわずか500メートル。民間の空港に転用するのは難しそうです。
埼玉県には飛行場が多い
空港はない埼玉県ですが、実はグライダーやセスナを飛ばす滑空場はたくさんあります。
- ホンダエアポート(桶川飛行場)
- 読売大利根滑空場
- 妻沼滑空場
- 羽生滑空場
ただしこれらの飛行場は滑走路が短く、ジェット旅客機の離発着ができないため、簡単な拡張工事で空港にすることはできません。
また埼玉県には航空自衛隊の入間基地と横田基地があります。こちらは十分な長さの滑走路をもっていますが、民間空港として利用するなどの計画はありません。
神奈川県の計画は立ち消え
首都圏第3の空港構想では神奈川県も候補に入っていた時期がありました。場所は横浜市金沢区沖の東京湾上。しかし羽田空港の再拡張によってこちらの計画も立ち消えになりました。長い期間で考えれば横浜市金沢区の沖に空港ができることはあるかもしれませんが、今のところ具体的な計画は進んでいません。
また飛行場では綾瀬市と大和市に日本の海上自衛隊とアメリカ海軍が共同使用している厚木海軍飛行場が存在。もし海上自衛隊とアメリカ海軍が移動するようなことがあれば将来は民間空港に転用されるかもしれませんが、今のところそのような計画はありません。
山梨県はリニアに期待
山梨県には空港の建設計画はありません。空港までの所要時間がもっとも長いのになぜ空港を作ろうとしないのでしょうか?それは建設コストが巨額になり、しかも継続的に利用する人が少ないから。そしてなによりも山梨県には空港より期待できるものがあるからです。
それはリニア中央新幹線。山梨県駅が開業したら、品川まではわずか25分、羽田空港まで最短45分で行ける予定なのです。リニアが完成すれば山梨県に空港は不要となります。
岐阜県には農道空港はある
岐阜県にも現在のところ具体的な空港の計画はありません。各務原市には日本国内に現存する飛行場で最も長い歴史を誇る航空自衛隊の岐阜飛行場があり、滑走路の長さも2,710メートルと十分ですが、民間利用する予定はなし。セントレアへのアクセスが比較的良いため、岐阜県内の空港を求める声は大きくなっていないようです。
また高山市には、飛行機を使って野菜を運ぶ目的で建設された飛騨農道離着陸場(農道空港)があります。飛騨牛などのブランド肉や野菜の運搬に使用され、グライダーやラジコン飛行機の離着陸にも使用されていますが、滑走路が800メートルと短いのが難点。今後も旅客機の空港への転用は難しそうです。
三重県はセントレアの誘致に失敗
三重県には空港を建設する計画はありませんが、実はセントレアを誘致し、失敗したという歴史があります。
中部国際空港を作る際、常滑沖を主張する愛知県に対して三重県は鈴鹿沖と鍋田沖をアピール。しかし敗北してしまいました。とはいえ高速船を使えば津市からセントレアまで乗り換えなし。空港を求める声はほとんどなくなりました。
また伊勢市には陸上自衛隊 明野飛行場があり、要人の伊勢神宮参拝の際などには利用されています。ただし滑走路の長さが500メートルと短いため、民間空港に転用するのは難しそうです。
滋賀県は計画を凍結
滋賀県には、びわこ空港を建設する計画がありました。場所は現在の東近江市と日野町にまたがる場所。しかし2000年に計画は凍結され、2013年に知事が空港建設中止を決定しました。主な理由は、建設予定の土地を持つ人たちとの交渉が難航したため。今後、空港は必要だという声が大きくなったら、計画を見直して再スタートすることはあるかもしれません。
また高島市には陸上自衛隊の饗庭野離着陸場がありますが、滑走路は約840メートル。こちらを転用するのは難しそうです。
京都府は新幹線で満足
京都府にも具体的な空港の計画はありません。伊丹空港へのアクセスが良いことと、新幹線を使えば国内の各都市にアクセスしやすいのが主な理由です。
福知山市には陸上自衛隊の長田野演習場の離発着場がありますが、京都駅からのアクセスが悪いため、ここが民間の空港になることはないといわれています。
奈良県は計画を縮小
奈良県では2021年に2,000メートル級の滑走路を持つ飛行場の計画を発表しています。ただしこれは旅客機の空港ではなく、南海トラフ地震などに備えた防災拠点としての滑走路。紀伊半島の中心で津波被害の心配がないことから、五條市に防災の拠点を設置し、大型輸送機が離発着できる滑走路も作る計画だったのです。これが完成すれば、将来は民間空港への転用も可能だったはず。しかしその後計画は見直され、ヘリポートだけを作ることになっています。
福井県は空港を再整備
前述したように、福井県には福井空港があります。しかし滑走路は1,200メートルと短く、1976年からは定期便も出ていません。2022年には福井空港から東京ディズニーリゾートなどにヘリコプターのチャーター便を運航する計画が話題になりましたが、立ち消えになっています。
しかし福井県は、2024年度中に老朽化した福井空港ビルの建て替えや駐機スポットの拡充などの再整備の計画を立てると発表。今後はビジネスジェットの乗り入れなどで利用が増えると見込んでいます。滑走路が短いため定期便の復活は難しそうですが、ビジネスジェットを持っている人には朗報かもしれませんね。
空港が多い都道府県は?
空港がない都道府県について調査したところで、ほかの都道府県にはどれくらいの空港があるのかも紹介しましょう。
こちらが、各都道府県の空港の数です。
都道府県名 | 空港数 |
---|---|
沖縄県 | 13 |
北海道 | 12 |
東京都 | 7 |
鹿児島県 | 7 |
長崎県 | 6 |
大阪府 | 3 |
島根県 | 3 |
愛知県 | 2 |
新潟県 | 2 |
福岡県 | 2 |
熊本県 | 2 |
大分県 | 2 |
秋田県 | 2 |
山形県 | 2 |
静岡県 | 2 |
兵庫県 | 2 |
岡山県 | 2 |
千葉県 | 1 |
宮城県 | 1 |
広島県 | 1 |
香川県 | 1 |
愛媛県 | 1 |
高知県 | 1 |
宮崎県 | 1 |
山口県 | 1 |
青森県 | 1 |
岩手県 | 1 |
福島県 | 1 |
長野県 | 1 |
石川県 | 1 |
和歌山県 | 1 |
鳥取県 | 1 |
佐賀県 | 1 |
空港が多いのは、沖縄県と北海道。沖縄県には離島が多く、主な離島に空港が設置されています。一方の北海道はエリアが広いのが理由。陸路での移動に時間がかかりすぎるため、多くの空港があります。
東京の空港はどこにある?
上の表を見て、東京都の空港が多いことに驚いた人も多いのではないでしょうか。
東京都の空港は、以下の7つです。
- 東京国際空港(羽田空港)
- 調布飛行場
- 大島空港(東京大島かめりあ空港)
- 新島空港
- 神津島空港
- 三宅島空港
- 八丈島空港
羽田空港はもちろん有名。あとは離島に空港があり、調布飛行場から大島、新島、神津島、三宅島へ定期便が出ています。
空港がない都道府県は意外と多い!
日本には空港がない府と県が10あります。しかし空港がないのは陸路での移動が便利だということの証明にもなっているのです。その意味では空港がない府県に住んでいる人はむしろ自慢に思ってもいいかもしれませんね。
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