ユネスコ世界文化遺産の宗廟は朝鮮歴代王の霊廟!行き方や見どころなどを解説
宗廟(チョンミョ)は、朝鮮王朝歴代の王と王妃を中心とした人々の位牌が安置されている場所。この記事では、宗廟の見どころや入場方法、アクセスや拝観の注意点などを解説!
宗廟(チョンミョ)は、朝鮮王朝歴代の王と王妃を中心とした人々の位牌が安置されている場所。1995年にはユネスコ世界文化遺産に登録され、最近は宗廟の外壁に沿って広がるソスンラキルが最新トレンドスポットとして注目を集めています。
この記事では、宗廟の見どころや入場方法、アクセスや拝観の注意点などを解説!ぜひ宗廟へ行く前に情報をチェックして、マナーを守った拝観をするための参考にしてくださいね!
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宗廟の基本情報
朝鮮王朝時代の歴史と雰囲気を今に伝える貴重な場所として、国内外の観光客から人気の宗廟(チョンミョ)。まずは、宗廟の歴史や特徴などの基本情報を解説します。
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宗廟とは?
宗廟は、朝鮮王朝歴代の王と王妃に加え、死後に称号を贈られた王と王妃らの神主(シンジュ)と呼ばれる故人の名前を刻んだ位牌や王の肖像などを掛け軸に描いた影幀(ヨンジョン)が祀れている朝鮮王家の霊廟です。
神主には、亡くなった方の魂が宿っていると考えられており、519年間27代続いた朝鮮王朝の王のうち、廃位させられた燕山君と光海君を除く25人の王の神位が祭られています。正殿(チョンジョン)には19室に49、永寧殿(ヨンニョンジョ)では16室に34、功臣堂(コンシンダン)には李氏朝鮮時代の功臣83分の神主が祀られています。
宗廟の歴史
宗廟の歴史は、朝鮮王朝初代王の李成桂(イ・ソンゲ/太祖)にまで遡ります。1394年に、太祖は首都を漢陽(ハニャン・現在のソウル)に定め、その翌年には 宗廟の建築に取りかかり、翌年には完成させます。創建当時の建物は、1592年に豊臣秀吉の侵略の際に破壊されたものの、1608年に再建されました。
1995年にユネスコ世界文化遺産に指定された宗廟は、韓国の史跡125号にも指定されています。加えて毎年5月の第1日曜日開催される、朝鮮時代の王の末裔にあたる全州李氏の一族の人々が集まり、伝統的衣装をまとって行われる儀式である宗廟大祭(チョンミョデジェ)は韓国の重要無形文化財第56号に、そしてこの祭礼の時に使われる音楽宗廟祭礼楽(チョンミョ・チェレアク)は重要無形文化財第1号に指定されています。
宗廟のある鐘路(チョンノ)ってどんな街?
宗廟があるのは、地下鉄鐘路3街(チョンノサムガ)駅の近く。この鐘路エリアは朝鮮王朝の時代から現代までソウルの中心として栄えています。
それだけに宗廟だけではなく、朝鮮王朝時代の歴史を今に伝える4大宮があるほか、韓屋の街並みを残す北村韓屋村(ブッチョンハノクマウル)、石畳の街並みが美しい仁寺洞(インサドン)、演劇の街大学路(テハンノ)、景服宮の前に広がる光化門(カンファムン)広場、屋台飯の食べ歩きが楽しい広蔵市場(クアンジャンシジャン)など、たくさんの観光スポットがあります。
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宗廟観光の見どころ
宗廟の中には、由緒ある建物が数多く残されています。神聖な場所なので観覧できる場所は限られているとはいえ、敷地の中に足を一歩踏み入れるだけでも厳かな気分に浸ることができます。ここでは宗廟の見逃せないポイントやイベント、周辺の人気スポットをまとめました。
宗廟の中心!正殿・永寧殿
宗廟のなかで、もっとも重要な建物である正殿と永寧殿。正殿は太祖をはじめ、とくに正しい政を行ったとされる19人の王とその王妃の49の神主が安置されている場所。永寧殿(ヨンニョンジョ)は、1421年に第2代国王・定宗(チョンジョン)の位牌を祀るために建築され、その後正殿に納められた以外の王族たちの神主を祀るようになった場所です。
創建当初正殿には、7室があるだけでした。しかし神主の増加に伴い現在は19室あり、それに伴い建物が横に広げられたため、現在建物の横の長さは101メートルあります。現存する祠堂(シドウ/位牌をまつる堂)建築物の中では世界最長の木造建築とされています。
見逃せない正殿・永寧殿の周辺施設
正殿・永寧殿以外にも、宗廟の中には歴史ある建物がいくつか残されています。李氏朝鮮時代にとくに功績があった功臣83人を祭る功臣堂、 祭儀の準備のための沐浴場である御楽室(オスッシル)、祭事の際に使われる道具を保管する典祀庁(チョンサチョン)、王室に安泰をもたらしてくれるとされる季節の七祀(チルサ・神様のこと)の祭祀が執り行なわれた七祀堂(チルサダン・写真)などです。
そして建物以外にも、典祀庁の隣にあり、祭礼儀式で使う水を汲む井戸であった祭井(ジェジョン)跡なども残っていますよ。この井戸は干ばつでも水が枯れることがなく、常に冷たい水を汲むことができたという逸話が残されています。
陰陽思想に基づく造りが神秘的な中池塘(チュンジダン)
1443年に造られた池で、四角の池の真ん中に丸い島があるのが特徴。これは古代中国の宇宙観である天は丸く地は四角であるという天圓(テンエン)地方思想や、同じく古代中国に由来する思想哲学で、宇宙のありとあらゆる物は陽と陰の2つに分類されるとする陰陽思想に基づくもので、四角形の池は地と陰を、丸い島は天と陽を象徴しています。
島の中央には、イブキの木が植えられています。池の周囲にはベンチも置かれているので、宗廟散策に疲れたらベンチに腰をおろし、ゆっくりと池を眺めながら長い歴史に思いを寄せてみてはいかが?
600年の歴史を誇る宗廟大祭(チョンミョデジェ)
宗廟では、毎年5月の第一日曜日に正殿前で宗廟大祭が開催されています。現在の祭礼の形式は1462年に定着したものを伝承しているとされており、2001年にはユネスコの世界遺産にも指定されています。
この儀式は、宗廟の中だけで執り行われるものではありません。まずは景福宮(キョンボック)から御駕行列(オガヘンヨル)が宗廟に向かいます。その後神主が取り出され、神を迎える儀式が始まります。その後供物を捧げて神をもてなし、最後に神を見送る儀式が行われます。
儀式に参加する人は韓国の時代劇ドラマさながらの伝統衣装を身にまとい、儀式の間は韓国の打楽器杖鼓(チャンゴ)や弦楽器奚琴(ヘグム)などを用いて宗廟祭礼楽が奏でられ、その一連の様子はまさに時代絵巻を見ているよう!
なお、儀式は無料で拝観できますが、当日はかなりの人出です。
宗廟の外壁に沿って広がるカフェストリート・ソスンラギル
流行の移り変わりが激しい韓国では、常に話題のスポットが新しく生まれていますが、最近韓国の若者たちに注目を集めているのが、宗廟の外壁に沿って広がるカフェストリート・ソスンラギルです。
場所は、地下鉄鐘路3街駅から徒歩10分ほど。宗廟の外壁に沿って伸びる道沿いにおしゃれなカフェやバーが並んでいますが、これらの店の多くが宗廟の外壁に向かって軒先にテーブルと椅子をセッティングしています。
美しい街路樹と静かに歴史を語る宗廟の外壁のコントラストが美しく、特に春や秋など過ごしやすいシーズンには吹く風も心地よく、ソウルの真ん中にいながら落ち着いた雰囲気を味わえます。
規模の小さな店が多いため、週末の夜やランチタイムには各店に行列ができることも多いほど人気を集めていますよ!
宗廟拝観に最適なシーズンは?
旅の楽しさは、天候や気温にも大きく左右されるもの。ここでは宗廟拝観に最適なシーズンについて解説します。
ベストシーズンは宗廟大祭のある5月
宗廟拝観のベストシーズンは、なんといっても宗廟大祭のある5月。特に韓国時代劇ドラマが好きな方なら、儀式の様子を見るだけでもまるでドラマの世界に紛れ込んだように楽しめるはず!
ただし、宗廟大祭の期間はやはり宗廟は多くの人出でにぎわいます。人混みを避け、普段の厳かな雰囲気を味わいたいならむしろ宗廟大祭の時期は外すという選択肢も。春と並んで秋もおすすめのシーズンで、宗廟拝観のついでに近くのソスンラギルにあるカフェのテラスから宗廟を眺めれば、素敵なヒーリングタイムが過ごせるでしょう!
観光客が少ない時期を狙うなら12月~3月
ソウルの冬は寒く、外から建物を眺める宗廟拝観には厳しいシーズン。ただしその分人も少なく、旅行代金なども安く抑えられるので、あえてこのシーズンを狙うという選択肢も。
ただし、ソウルの冬の寒さを甘くみるのは禁物です!1月〜2月には昼間でもマイナスの気温の真冬日が続くことも。天気予報などで厳しい寒さが予想される時には、ダウンはできればロングのものを着用し、手袋や帽子、イヤーマフも忘れずに!
温熱効果のある下着類などももちろん有効ですが、ソウルの建物の中は日本と比較して暖かく、外のバス停の椅子にもヒーターがついているほど。そのため下着のように自由に脱ぎ着ができないものより、できればアウターで温度差に対応するようにしましょう。
宗廟の見学方法は?予約は必要?
宗廟は、個人が自由に観覧できる日程は限られています。その他の日程はガイド同行ツアーへの参加が必要です。宗廟の入場方法について詳しく解説します。
入場方法にはガイド付きと一般観覧の2種類がある
個人が宗廟を自由に観覧できるのは土・日・祝日、毎月最終水曜日に限定されています。火曜日を除く平日に拝観希望の場合には、言語別に用意されたガイドツアーへの参加が必須です(所要約1時間)。
日本語によるガイドツアーが行われるのは、実施日の9時40分、11時40分、13時40分、15時40分の4回で当日参加可。
開館時間は年間を通じて9時ですが、閉館時間は18時(2〜5月・9・10月)、18時30分(6〜8月)、17時30分(11月〜1月)と季節により異なり、いずれも入館は閉館の1時間前までです。拝観料は共通で、大人(19歲 〜 64歲)1,000 ウォン(約114円)ですが、18歲以下、65歲以上の方、そして毎月最終水曜日は無料です。※年齢を証明するものが必要。
ソウル4王宮も回れるおトクなチケットも!
ソウルには、宗廟以外に景福宮(キョンボックン)・徳寿宮(トクスグン)・昌徳宮(チャンドックン)・昌慶宮(チャンギョックン)の4つの古宮があり、宗廟に加えてこの4つの古宮に入場できる宮殿統合観覧券(クンクォル トンハックァルラムクォン)があります(有効期限あり)。
料金は大人(満19~64歳)10,000ウォン(約1,140円)で、各施設に1回限り入場可能。もしソウルの歴史探索が旅の目的で、他の古宮にも立ち寄る予定がある場合には、こうしたチケットの活用も便利ですよ!各王宮や宗廟の入場券販売窓口で購入できます。
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宗廟へのアクセス・行き方
宗廟はソウルの中心部・鐘路にあるので、地下鉄、バスなどの公共交通機関で気軽にアクセスできます。ここでは、地下鉄、バス、タクシーそれぞれの行き方を解説します。
時間に正確に移動するなら地下鉄
宗廟の最寄駅である鐘路3街駅は地下鉄1・3・5号線と3つの路線が乗り入れていて大変便利です。ソウル駅からアクセスする場合は地下鉄1号線で約15分、明洞からなら地下鉄4号線で忠武路(チュンムロ)駅まで行き、そこから3号線に乗り換えて約18分。
弘大方面からは地下鉄2号線で乙支路4街まで行き、そこから3号線に乗り換えます。弘大からは所要時間約22分。
これらのルートを利用しての料金は、いずれも1.400ウォン(約160円)です。
江南駅からアクセスする場合は、地下鉄2号線で教大(キョデ)駅まで行き、そこから3号線に乗り換えする方法と、新盆唐(シンブンダン)線で新沙(シンサ)駅まで行き、そこから3号線に乗り換える方法があり、いずれも所要時間は約34分と同じ。しかし料金はやや異なり、2号線ルートが1,500ウォン(約171円)なのに対し、新盆唐線経由では2,200ウォン(約251円)かかります。
出発地 | 所要時間 | 料金 |
---|---|---|
ソウル駅 | 約15分 | 1.400ウォン(約160円) |
明洞 | 約18分 | 1.400ウォン(約160円) |
弘大 | 約22分 | 1.400ウォン(約160円) |
江南駅(地下鉄2号線) | 約34分 | 1,500ウォン(約171円) |
江南駅(新盆唐線) | 約34分 | 2,200ウォン(約251円) |
バスの利用もとても便利
宗廟へは、バスの利用もとても便利。地下鉄で解説した同じルートで解説すると、ソウル駅からアクセスする場合は、最も駅から近いソウル駅バス乗換センターを利用した場合は103・201・262番に乗り鐘路4街(チョンノサガ)で下車。所要時間は約18分。
明洞からなら乗り換えなしでアクセスする場合は、ロッテヤングプラザバス停の利用が便利。262・103・143・201番に乗り鐘路4街で下車。所要時間は約21分です。
弘大方面からは弘大入口(イック)駅バス停から273・271番に乗り、鐘路4街で下車します。所要時間は約30分。江南駅からは新盆唐線・江南駅から140番に乗り鐘路4街で下車。所要時間は28分。
すべて乗り換えなしでアクセスでき、料金はいずれも1,500ウォン(約171円)です。
出発地 | バス番号 | 所要時間 | 料金 |
---|---|---|---|
ソウル駅バス乗換センター | 103・201・262 | 約18分 | 1,500ウォン(約171円) |
ロッテヤングプラザバス停 | 262・103・143・201 | 約21分 | 1,500ウォン(約171円) |
弘大入口駅バス停 | 273・271 | 約30分 | 1,500ウォン(約171円) |
新盆唐線・江南駅 | 140 | 約28分 | 1,500ウォン(約171円) |
自由度を高くするならタクシー
宗廟はソウル駅や明洞駅からも近い場所にあるので、タクシーの利用も便利です。地下鉄・バスで紹介した起点から宗廟へタクシーで向かった場合の所要時間と料金の目安は以下になります。
出発地 | 所要時間 | 料金 |
---|---|---|
ソウル駅 | 約14分 | 9,460ウォン(約1,078円) |
明洞駅 | 約11分 | 8,580ウォン(約978円) |
弘大入口駅 | 約20分 | 14,780ウォン(約1,685円) |
江南駅 | 約20分 | 16,400ウォン(約1,870円) |
宗廟拝観時の注意点
宗廟は、上記でも紹介したように個人が自由に観覧できる日程は限られており、火曜を除く平日は、決められた時間に出発するガイド付きツアーに参加する必要があります。
それ以外にも宗廟は一般的な観光地ではないので、拝観する上で守るべき注意点がいくつかあります。
鎮魂のための施設であることを忘れずに
宗廟の正門・蒼葉門(チャンヨッムン)に入ると、石畳が3つに区分されている部分があります。この道は周囲より少し高くなっている真ん中の道神香路(シンヒャンノ)、その東側にある御路(オロ)、西側にある世子路(セジャロ)とそれぞれ名付けられており、真ん中は神様が通る道とされています。日本の神社も同様ですが、神様の通る道は避けて歩くようにしましょう。
そのほか敷地内であまり騒がない、走り回らない、むやみに建物などに触れないといったことは順守しましょう。
周囲は地元の高齢男性が数多く集まる地域なので注意が必要
実は宗廟の近くにタプコル公園と呼ばれる場所があり、その公園を中心に宗廟の周辺も含め、この地域は高齢男性の溜まり場になっています。
実はこのタプコル公園は、日本の植民地支配に抵抗した市民たちが立ち上がった「三・一独立運動」の発祥地。それだけに時々、この公園に入った日本人がそこにいた高齢の男性に絡まれたといった話を耳にすることがあります。
少数とはいえ、こうした事例が近くであること、さらにはこの地域に足を運ぶのは独居で孤独を抱えている高齢男性が多いとされており、何かをきっかけに日頃のうっぷん晴らしに絡まれないともいえません。実際に歩いていて身の危険などを感じることはありませんが、そこは言葉が通じない異国の地、こうした実状も把握しておきましょう。
宗廟を訪ねて韓国の歴史に触れよう
この記事では、宗廟の拝観に関する見どころや歴史、見学方法、アクセスなどをご紹介しました。 宗廟はソウルの中心部にありながら、朝鮮王朝時代の歴史を伝える貴重なスポットです。
ぜひ紹介した情報を参考に、宗廟の拝観を満喫してみてくださいね!
宗廟(チョンミョ)の基本情報 | |
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住所 | 1-2 Hunjeong-dong, Jongno-gu, Seoul KOREA |
電話 | +82-2-765-0195 |
開場時間 | 9:00〜18:00(2〜5月・9・10月)、9:00〜18:30(6〜8月)、9:00〜17:30(11月〜1月) |
休場日 | 毎週火曜日 ※公休日は開館 |
アクセス | 地下鉄1.3.5号線鐘路3街駅11番出口より徒歩約5分 |
料金 | 大人(19歲 〜 64歲)1,000 ウォン(約114円)、毎月最終水曜日は無料 |
公式サイト |
※記事内の金額は2024年6月12日のレート、1ウォン= 0.1140 円で計算しています。
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