NEWT Chat 編集部です。AIとはそもそもどういうものか、そして宿泊施設の集客と運営は、これからどう変わっていくのか。宿泊施設が取り組むべきことを、全旅連青年部「県部長サミット」での講演をもとにお届けします。
2026年9月16日、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会 青年部(全旅連青年部)の「県部長サミット」にお招きいただき、令和トラベル 執行役員 CBO の受田が登壇し、「AI時代の新常識」と題してAI勉強会を行いました。各都道府県の県部長・出向者のみなさんを前にお話しした内容をもとに、AIの捉え方、AIに選ばれるための集客、AIと人の役割分担という3つの問いを整理します。


受田 宏基令和トラベル 執行役員 CBO
2018年 株式会社Loco Partnersにジョイン。新規事業として民泊事業の立ち上げの責任者を担い年間600施設の掲載を実施し、会社の年間MVPを受賞。その後、東日本の新規営業チーム7名のリーダーを経験し、首都圏の大手外資系ホテルチェーンの担当などに従事。2020年4月には「TASTE LOCAL」を共同創業、グロースを担当。2021年より令和トラベルに執行役員としてジョイン。
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AIは「ツール」ではなく「新たな働き手」

紙の台帳からデジタルやクラウドへの変化は、あくまで「人が使うツール」の進化でした。AIが違うのは、AI自身が作業をしてくれる点です。そのためAIは、ツールではなく「新たな働き手」として捉えるのが出発点になる、と受田は話しました。
「AIエージェントとは、スター人材である」
最初から完璧を求める必要はありません。人と同じように、AIも入ったばかりの「新人」だと考えて、少しずつ育てていけばよいのです。一度スター人材に育てば、何人にも分身でき、辞めることもありません。
AIの進化はとにかく速く、いま触っているAIも2〜3か月後には古いモデルになっている、という指摘もありました。だからこそ、まず経営者や支配人が早めにAIに触れて、慣れておくことをおすすめします。
AIに「選ばれる」ための集客4ステップ
これまでの旅行者は、検索エンジンにキーワードを入れ、並んだ候補を見比べて、施設のサイトから予約していました。これからは「子連れで行ける温泉旅館はないかな」と、自然な言葉でAIに相談する時代です。AIが文脈をくみ取って候補を挙げ、検索結果の上位にもAIの要約が表示されるようになりました。上位に載っていてもクリックされにくくなっており、いかにAIに「選ばれる」かが問われます。
「まだ明確な正解はないが、少なくともやっておくとプラスになることは見えてきている」として紹介されたのが、次の4つのステップです。

1. 発見される
AIが施設のサイトを読めるようにします。制作会社がロボットに読ませない設定を入れている場合もあるため、一度確認してみてください。
2. 理解される
誰向けの施設か、どんなシチュエーションに向いているかを書き、よくある質問(FAQ)を充実させます。Googleマップの情報も充実させ、施設名・住所・電話番号の表記は、各OTAサイトで揃えておきます。
3. 推薦される
口コミ・レビュー評価を高め、お客さまの口コミを自社ホームページにも掲載します。近隣の有名スポットや季節のイベント、特別プランの情報も自社サイトに載せておきます。
4. 選ばれ続ける
情報を更新し続けます。
ポイントは、1から順番に進めることです。前のステップができていないと、後ろのステップは効いてきません。
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作業から、おもてなしへ:運営の役割分担
AIが得意なのは、繰り返しの業務や、24時間回し続けなければならない業務です。一方、接客やお客さまの体験を高める場面では、人が対応したほうがよいことがまだ多くあります。この役割分担を最初に考えるのが、経営者の大切な仕事です。
たとえば電話対応です。これまでは、人が電話を受けて用件を聞き、自分で答えるか担当者につなぐかを判断し、最後にメモを残して引き継いでいました。AIが一次受けを担えば、よくある質問にはAIが答え、それ以外はすぐに人へつなげます。やり取りは要約や音声データとして自動で残ります。メールも同じで、AIが受信メールを振り分けて下書きを作り、人は最後に確認して送るだけです。これまでのメールを学習させれば、女将さんの言葉づかいで下書きを作ることもできます。
こうして生まれた時間を、おもてなしや企画といった、人にしかできない仕事に使います。AIが当たり前になると、スタッフ・マネージャー・支配人それぞれの役割も変わっていきます。

ゲスト満足を測る指標「PHT」
ゲストの満足度を最大化するための指標として紹介されたのが「PHT(Pure Hospitality Time)」です。スタッフ一人ひとりがホスピタリティに使える時間と、その質を掛け合わせて考えます。時間が増え、質が上がるほど、ゲストの満足度は高まり、リピートや客室単価の向上にもつながります。

進め方にも順番があります。
- 満足度を落とさずにAIが代わりに担える業務を見つける
- ホスピタリティに使える時間が増える
- データがたまる
- 評価の高いスタッフのナレッジをほかのスタッフにも広げ、質を上げる
このサイクルを回し続けることが大切です。
まとめ
AIに任せられることはAIに任せ、人は、人にしかできないおもてなしに時間を使う。その順番と役割分担を考えることが、AI時代の宿づくりの出発点になります。
- AIは「ツール」ではなく「新たな働き手」。新人のつもりで育てる
- 集客は「発見される → 理解される → 推薦される → 選ばれ続ける」を1から順に
- 繰り返しの業務はAIに任せ、生まれた時間をおもてなしに使う
実際にAIを導入した施設の変化は、食べるお宿 浜の湯の事例でご覧いただけます。AIの使い方のイメージを広げたい方は、NEWT Chatの活用シーンもあわせてご覧ください。
令和トラベルでは、全国どこでも、AI勉強会の開催を承っています。施設単体でのスタッフ向け勉強会にも対応しています。
